京都の大学、長年の悩みは「ポイ卒」 毎年2千台の放置自転車、適切な処分を呼びかけ

卒業生らに自転車の無料回収を呼びかける同志社大のキャンペーン看板(京都市上京区)

 京都市内の大学が卒業生に不要な自転車を処分するよう呼びかけている。通学やアルバイト先までの移動に手軽で便利な自転車だが、就職で不要になるとキャンパスやその周辺に放置されることが「学生のまち」の長年の課題になっている。各大学は後輩への譲渡機会を設けたり、ホームページ(HP)で適切な処分を訴えたりしている。

 「ポイ卒防止、無料で回収します」。同志社大(京都市上京区)は卒業シーズンに、不要な自転車を引き取って処分するキャンペーンを展開している。2月から室町駐輪場(同)に「卒業予定者必見」と記した看板を掲げ、3月22日まで回収を受け付けた。集まった自転車は業者に引き渡し、活用してもらう仕組みだ。

 キャンペーンは2015年ごろから実施し、毎年、百数十台が集まる。同大学の今出川校地学生支援課は「放置自転車が増えると在学生の駐輪スペースが減り、処分に費用も掛かる。学生に自覚をもってもらうため、今春からは自転車を登録制に変更する」としている。

 「構内に放置自転車が多すぎて常に駐輪できず、困っています」。放置自転車を巡る問題は、京都大の学生たちも大学のHPにたびたび書き込んでいる。吉田キャンパス(左京区)では毎年4月以降、自転車に撤去時期を明示した「調査中」のシールを貼り、放置されたものかを調査する光景がみられる。

 京大HPによると、同キャンパス内で撤去処分する自転車の数は年間約2千台(19年時点)。京都市が年間に撤去する約1万5千台(22年度)と比較しても相当な数になる。京大は「不要になった自転車は放置せず、適切に処分を」と訴えている。

 卒業時期に後輩へ譲渡できる機会を設ける大学もある。京都芸術大(左京区)は、状態の良い自転車を大学が引き取って、希望する在校生に譲る取り組みを毎年続けている。同大学は「自転車を放置ではなくリサイクルして、良い循環につなげたい」としている。

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