濵尾咲綺VSさとうほなみ、『水深ゼロメートルから』本編映像 枝優花ら著名人コメントも

5月3日から全国順次公開される映画『水深ゼロメートルから』の本編映像が公開された。

本作は、2020年に公開された城定秀夫監督作『アルプススタンドのはしの方』に続く「高校演劇リブート企画」第2弾となる作品。原作は、2019年第44回四国地区高等学校演劇研究大会で「文部科学大臣賞(最優秀賞)」を受賞した徳島市立高等学校・中田夢花による『水深ゼロメートルから』。夏休み、特別補習としてプール掃除を指示された高校2年生たちのさまざまな思いが交錯していく模様が描かれる。

濵尾咲綺、仲吉玲亜、清田みくり、花岡すみれが物語の中心となる4名を演じるほか、さとうほなみ、三浦理奈がキャストに名を連ねている。

公開された映像は、濵尾演じる女子生徒とさとう演じる体育教師が激しく口論をするシーン。さとうがグイっと濵尾の腕を掴み、鋭いまなざしで「メイクはダメって言っているでしょ」というセリフからスタート。「自分だってメイクしてるやん」「私は大人でしょ。あなたは高校生」「知らんし、そんなん」と激しい言い争いが続く。終盤、濵尾の「私は、私のやりたいようにする」という言葉に対して、さとうは「ダメです。私は、守らなきゃいけないことは守りなさいと言っているだけ」と言い返す。誰かが決めた型にハメようとする現代社会の風潮と、それに抗う若者の葛藤が表現されたシーンとなっている。

あわせて10名の著名人コメントが公開。山下監督を敬愛する映画監督・枝優花は「何故かJKたちの物語に老若男女が懐かしさを抱いてしまう摩訶不思議映画。山下さん、どんな魔法使ったんだろう」と演出面を賞賛。映画評論家の相田冬二は、「みんな。いろいろある。いろいろ考えてる。いろいろぶちあたってる。でも。そのいろいろがそれぞれ粒だっていて。カラフルなのだ」とコメントを寄せた。

コメント
枝優花(映画監督・写真家)
生々しい女子たちのやりとりが水のないプールのなかで繰り広げられている。
男子が知らない女子の世界。こう書くと「女ってやっぱコエー」「女のことはよくわからんわ」という冷笑が必ずセットでついてくる。.....が、この映画、山下マジックで生々しさはおろか、なんだか懐かしくなってくる。それどころか彼女たちの中に男子中学生の幻影すら見えたりする。何故かJKたちの物語に老若男女が懐かしさを抱いてしまう摩訶不思議映画。山下さん、どんな魔法使ったんだろう。

東紗友美(映画ソムリエ)
水のないプールに満ちていく少女たちの存在感、それは多様な水しぶき。
泳いでいるようにゆらめき交錯する光の粒が、最後はいっせいに輝きだす。
プール掃除の補修授業、夏に漂う気だるさこそが青春だったことを大人になってから気づく。10年後、彼女たちはどうなっているのだろうか?またいつか彼女たちに再会したい。

相田冬二(映画評論家/Bleu et Rose)
みんな。いろいろある。いろいろ考えてる。いろいろぶちあたってる。
でも。そのいろいろがそれぞれ粒だっていて。カラフルなのだ。
でも。それは彼女たちが高校生だからじゃない。女子だからでもない。ひとりひとりに
そのにんげんだけの色があるからなのだ。これは。そんな映画。

萌映(クレナズム)(ミュージシャン)
青春時代の繊細なひとときに感じていた、性別に対する悩みをリアルに描く描写がグサッと胸に刺さりました。
それぞれの少女が抱えるもどかしさや葛藤がありながらも、シーンごとで一喜一憂する姿がとても尊かったです。
水深ゼロメートルから、同じ悩みを抱えるすべての人に届きますように。

山下リオ(俳優)
プールの底に溜まる砂。水が入っている時でさえ、その砂は視界を濁し、手足をざらつかせるのだけど、気づかないふりをしていたのはなぜだろう。
ただ、本当は気づいているとも思う。
私も、あなたも、彼女たちも。
空っぽのプールがいつのまにか想いで溢れて、私は勢いよく泳いでみたくなりました。

武田かりん(映画監督)
同じ場所にいても、同じ雨に打たれていても、でも、私は私。同じ人なんてどこにもいない。一人一人が主人公であり、物語なのだ。そう改めて気付かされました。水のないプールで語られる登場人物それぞれの葛藤は、この世界のほんの一部分に過ぎないこと、それがそれぞれの個人的な視点で丁寧に切り取られ、その等身大の感情にドキッとしました。

莉子(俳優)
「水のない空っぽのプール」を舞台に、複雑に純粋に絡み合う彼女たちが眩してくて、どこか懐かしかったです。プールに水はないはずなのに、彼女たちが存在しているだけで意味のあるものになっている。夏は苦手だけど、この映画があるから好きになれるかもなと思わせてくれる。そんな作品でした。

若菜みさ(画家・俳優)
羨ましい。
先生に怒られながら友達と補習したり、本音でぶつかって友達と喧嘩しちゃったり、映像まるごと、私がやってみたかったことばかりだ。私は全部できずに23歳になってしまった。

瞳水ひまり(俳優)
彼女たちのようになりたい。この映画を見て気づいてしまった。私はまだもがき続けたいんだ。
努力で勝てないことだって、知らないふりして挑み続けてみよう。なんだってできる気がしていた、あの日の世界の輝きを、あの鋭い目つきで切り開いてゆく。
世間の一員じゃなく、私の在るべき場所に帰ろう。
水がないプールでもいつか息ができるようになると信じて。

稗田寧々(声優)
広がる青空と登場人物たちの瑞々しさが、とにかく眩しい…!学生時代の夏を思い出します。
水深0mから見えてくるのは、彼女たちの深い深いところ。
そこから浮かび上がる悩みや葛藤に、観ていて私もドキッとしてしまいました。
らしさ、って何だろう。いずれ狭いプールを飛び出す彼女たちの未来に、つい想いを馳せてしまいます。

(文=リアルサウンド編集部)

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