給食から消えたパン、教育委員会の対応迷走 福井県福井市 12月に提供中止決定も4月に一転、再開を業者に打診

4月から稼働開始した福井市学校給食センター。パン給食再開への対応が問われている=福井県福井市

 福井県福井市の小中学校の給食でパンの定期提供が4月からなくなった問題で、市教委の対応が迷走している。昨年12月にパン提供中止を決めたが、4月になって突然、パン業者側へ再開を打診し始めた。業者減少で必要個数を確保できないという壁をクリアするために「不定期提供」での交渉を再開したとするが、これは業者が「経営的にみて非現実的」と切り捨てている案。昨年8月に持ち上がった問題だが今年4月まで業者と直接交渉せずにきた経緯もあり、対応のちぐはぐさが浮かび上がっている。

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 市教委ではパンを提供する場合、パン向けの献立を作ることにしている。昨年度までは三つの献立グループをつくり、曜日をずらして週1回、パンを提供してきた。本年度から新たな学校給食センターが稼働したことを受け、センターで二つ、単独調理校などで三つと計五つの献立グループに変更した。昨年度の3グループに比べ増えた形だが、必要なパンは昨年度と同様、1日最大で6千食分以上となっている。

 市教委によると昨年8月、県学校給食会と業者が市役所を訪れ、3業者が撤退し1社のみとなるため数量の配慮などを求められたという。その後、提供できるのは1社だけで1日3500食程度と給食会から通知されたとしている。

 不足分を冷凍パンで補う案などを検討したが、価格や設備面から断念。給食センターの調理レーンをさらに分け、献立グループを細分化すれば1日に必要なパンの個数は減るわけだが、センターが完成した今となっては安全面などで困難。市教委は献立の多様性の観点からパン給食を続けてきたが、手詰まりと判断した。

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