高橋藍の攻守両面での能力を元伊代表が高評価! チーム2位の得点数も及ばずモンツァは優勝へ崖っぷちの2敗目【伊リーグPO決勝】

現地時間4月25日、バレーボールのイタリアリーグ/スーペルレーガで2023-24シーズン・プレーオフ決勝の第3戦が行われた。男子日本代表の高橋藍が所属するレギュラーシーズン5位ミント ヴェロ バレー・モンツァは、同2位シル スーサ ヴィム・ペルージャとアウェーで対戦。セットカウント1-3(15-25、18-25、26-24.19-25)で敗れて1勝2敗とし、ホーム開催の第4戦に優勝への望みをつなぐこととなった。

観客4,986人の熱気に包まれたこの一戦を現地取材した。この日、イタリアは解放記念日(第二次世界大戦中のファシズムとナチス占領から同国が解放された日)で祭日とあって、チケットは発売開始後すぐに完売。会場前の道路は大渋滞が起こり、駐車場のスペースを見つけるのに30分以上を要するほどだった。

先発は初戦から変わらず。モンツァはパリ五輪行きが決定している日本代表のアウトサイドヒッター(OH)高橋、カナダ代表のスティーブン・マーとエリック・レプキー、司令塔のブラジル代表フェルナンド・ジル クレリン(通称カショパ)の4選手。加えて、5月後半に開幕するネーションズリーグ(VNL)で残る4枠を狙うイタリア代表のミドルブロッカー(MB)ジャンルーカ・ガラッシとガブリエレ・ディ マルティーノ、リベロのマルコ・ガッジーニ(初招集)。

ペルージャも布陣を変えず。同五輪に出場するOHポーランド代表カミル・セメニュクとMBブラジル代表フラビオ・グアルベルト。リーグ閉幕後のVNLで切符獲得を目指すイタリア代表の主将で司令塔のシモーネ・ジャンネッリとMBロベルト・ルッソ。高いポテンシャルでチームのレベルを上げるOHウクライナ代表オレフ・プロツニスキー、OPチュニジア代表ワシム・ベンタラが脇を固めた。

決勝の全試合で行われるイタリア国家斉唱の後、ペルージャのホーム戦で恒例の銀テープがいつもの2倍、華やかに宙を舞い試合がスタートした。

第1セット開始直後、サイドアウトに続きエース1本を含む連続ブレークをペルージャに許したモンツァは、高橋のノータッチエースですぐに同点へ戻す。だが、硬さが見られたモンツァは以降、精彩を欠き失点が続く。終盤に2点を返すが、このセットだけでペルージャにエース5本とブロック3本を決められるなど、10点の大差で試合を先行された。

第2セットも序盤こそ僅差を維持したが、中盤に相手OHセメニュクのサーブに苦戦して4連続失点。そこからペルージャに主導権を握られる。ビハインドが7点に達した終盤、高橋がエースを決めて気骨を見せるも、大きく開いた点差がのしかかり、2セット目を献上した。

第3セット前半の接戦を再びサーブで抜け出したのはペルージャ。しかし、高橋が左右からの攻撃とバックアタック2発で逃げ切りを許さない。すると、ガラッシがエース1本を含むサーブで相手の誤打を誘い逆転。迎えた終盤、高橋のサーブでブレークに成功してリードを2点とする。一度、デュースへ持ち込まれた後、マーのブロックアウトとエースでセットを奪い返した。
持ち前の守備力を取り戻し始めたモンツァだったが、被ブロックとローテーションのファウルで第4セットを劣勢からスタート。3点を追うなか、レフト攻撃やブロックなどで奮闘を続けた高橋は、8-11でサーブに立ったマーが相手守備を押し込んだところで、レフトからブロックアウトを2連発させて1点差に詰め寄る。ペルージャがタイムアウトを要求すると、背番号12の好パフォーマンスに同クラブのジーノ・シルチ会長のストレスは最高潮。おもむろに立ち上がってエンド席を後にした。
しかし、僅差のまま迎えた後半にペルージャが強豪の底力を発揮する。司令塔ジャンネッリのショートサーブからOPベンタラがブロックとライト攻撃で2連続ブレークの後、終盤には、途中出場のOHウィルフレド・レオンにエース2本を叩き込まれて失速。モンツァは1勝2敗となり、優勝へ望みをつなぐためには、まず次戦に勝利して第5戦へ持ち込むことが必須となった。

高橋は、チーム2位となる14得点(アタック11、エース2、ブロック1)を記録。6試合連続の二桁得点で奮戦したが、悔しい結果に終わった。

試合後、高橋はアンチドーピング検査に向かったため、話を聞くことはできなかったが、イタリア公営放送『RaiSport』の中継で解説を務めた元イタリア代表のアンドレア・ルッケッタ氏は、「ランは、相手の強力なサーブやアタックを制圧できる守備力とそれを自ら得点に変えることのできる攻撃力を備えている。大事な場面で攻撃を託されるのは、司令塔カショパからの厚い信頼の証だ」とその能力を高く評価するコメントを残してくれた。

第4戦は日本時間4月29日午前2時開始予定。優勝の可能性を手放すわけにはいかないモンツァは、第2戦の白星を後押しした本拠地で重要な一戦に臨む。

現地取材・文●佳子S.バディアーリ

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