ツキノワグマ推定生息数 2024年当初805頭 人的被害防止の徹底を/岡山

岡山県は、鳥取、兵庫との3県にまたがるツキノワグマの「東中国地域個体群」について、2024年当初の推定生息数が805頭(中央値)との調査結果を公表した。前年同期(859頭)比で6.3%減となったものの、安定的な存続の水準(800頭)を3年連続で超えており、県は引き続き人的被害防止に向けた有害駆除やゾーニング管理などを徹底する方針。

調査は3県が合同で実施し、23年の捕獲数や出生率、死亡率などを基に算出。その結果、個体数は583~1122頭の範囲とされ、実数に近い中央値を推定数とした。

東中国地域個体群は1991年、環境省のレッドリストで「絶滅の恐れがある個体群」に指定され、県は2000年から狩猟を全面禁止して保護。しかし生息密度が高まるにつれて生息域を広げて人里への出没が相次ぎ、17年から捕獲上限を設けた上で狩猟を解禁している。

環境省のガイドラインでは、推定生息数800頭以上で「安定存続地域個体群」とされ、15%までの捕獲を認めており、県はこれに基づいて24年度の捕獲上限を120頭に設定。国は今月、クマを「指定管理鳥獣」に追加して都道府県の捕獲などを支援することとした中、県は現段階では従来の管理計画に基づき、人里に繰り返し出没する個体を有害駆除するほか、錯誤捕獲した個体にはトウガラシスプレーで恐怖心を与えてから奥山へ「学習放獣」する方針。

県内の23年度の出没数は119件で22年(127件)に比べて約6%減少。捕獲は15頭(22年24頭)で、うち10頭が有害駆除、5頭が錯誤捕獲。狩猟は0頭だった。

県自然環境課では「3県で情報を共有し、本来の生息域に極力留めるゾーニング管理につなげたい。6月には繁殖期に入り、雄は行動範囲を広げるため、登山や山菜採りなどで入山する際はクマ鈴やラジオで人の存在を知らせるよう気をつけてほしい。目撃した場合は県民局などに連絡してほしい」としている。

美作市内で昨年捕獲されたツキノワグマ(県提供)

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