知らないと損する!「老けない」ために利用すべき「国の制度」とは【理学療法士が解説】

(※写真はイメージです/PIXTA)

誰だって老いたくないですよね。約16万人に生活期のリハビリを提供した経験をもつ理学療法士の上村理絵氏は著書『こうして、人は老いていく 衰えていく体との上手なつきあい方』(アスコム)にて、勝手に老化予防できる環境づくりを提案しています。今回はその一部を本書から抜粋して紹介します。

制度を利用して老化予防・改善の環境を整える

年を重ねて、老化が進んだり、病気やけがをしたりしたときには、本人の努力や家族の支えだけでは日常生活を送れなくなることがあります。そうしたときにぜひ利用してほしいのが、介護保険制度です。

介護保険制度を利用することに対して忌避感を持つ方もいらっしゃいますが、この制度は多くの方が40歳からあなたが納めてきた介護保険料によって、まかなわれているものです。会社員の方は給料から差し引かれているので、納付していることに気づいていない方も少なくありません。どなたも制度を利用する権利があり、それに負い目を感じる必要などまったくないのです。

介護保険制度では、費用の1~3割を負担するだけで、さまざまな介護サービスが受けられます。私たちの施設でリハビリを受けている方も、全員、介護保険制度を利用されているのです。介護保険制度の利用の仕方などは、前著『道路を渡れない老人たち』で説明しているので、ここではごく簡単な説明にとどめます。

介護保険制度が利用できるのは、65歳以上の人、もしくは16種類の特定疾病に該当する40~64歳以上の人です。ただし、これらの条件を満たしていても、自動的にサービスが受けられるわけではありません。介護保険サービスを利用するには、寝たきりや認知症などで常時介護を必要とする状態(要介護状態)、または家事や身支度などの日常生活にサポートが必要で、特に介護予防サービスが効果的な状態(要支援状態)と認定されなければならないのです。

要介護状態、要支援状態にあるかどうか、さらにその程度がどれぐらいなのかは、要介護認定(要支援認定を含む)によって判断されます。認定を受けるには、各自治体の地域包括支援センターに相談してください。きっと皆さんのお住まいの近くにもあります。認定まで、いろいろとサポートしてくれるはずです。

知ってて得する「事業対象者認定」制度

また、「要支援状態」や「要介護状態」と認定されなくても、デイサービスへの通所などのサービスが受けられる「事業対象者認定」という制度があります。これは、要支援、要介護状態になる人を減らすことを目的につくられた施策です。

この事業対象者認定は、65歳以上を対象として、簡単なチェックリストで受けられるかどうかが決まります。認定されれば、デイサービスで行われているリハビリは、介護保険を使って受けられるようになります。事業対象者認定では、一部の介護サービスは受けられませんが、介護認定を受けるよりも早くサービスが受けられるなどのメリットもあります。

ただ、この制度は地方自治体によって運用にかなり違いがあるようです。そのため、65歳以上の方は、「事業対象者認定」についても、地域包括支援センターで確認しておくとよいでしょう。また、各地方自治体では、老化予防の体操などの取り組みをしていることもあります。65歳以上になったら、地域包括支援センターに行くことを1つの決まり事にしてもよいかもしれません。

上村 理絵

理学療法士/リタポンテ株式会社 取締役

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