尾野真千子「私にとって次の“第一歩”になる出会い」異国ですべてを失いながらも笑顔で生きる邦人男性に驚嘆

尾野真千子さんが、『ザ・ノンフィクション「私の父のなれのはて~全てを失った男の楽園~」』(4月28日14時~/フジテレビ※関東ローカル)の“語り”を担当。ナレーション収録後の尾野さんへのインタビューとともに、ナレーションの一部を先行公開します。

【写真】『ザ・ノンフィクション』で“語り”を担当する尾野真千子

また、4月7日・14日に放送された「上京物語2024~シェフと父さんのケーキ~」の前・後編が、4月28日までTVerFODで無料配信中です。

家族の前から姿を消し…一文無しで言葉も分からぬ異国で生きる男の10年

姿を消した行方知れずの父は、遠い異国の地で生きていた…。

私たちが、マニラ近郊の町で彼に出会ったのは2014年。

日本でトラック運転手や土木作業員をしていた平山さん(64)は、妻と別れ、フィリピンパブに通う日々。2004年、友人から誘われるままに、フィリピンへ渡りました。

しかし「一緒に日本料理店を開こう」という知人に、借金をしてまで用立てた開業資金をカジノで使い込まれてしまいます。

一文無しで帰国資金さえ失った平山さんは、日本に帰ることもできず、現地で知り合った人の家を転々とする生活…それから10年、乗り合いバスの呼び込みでチップをもらい、何とか食いつないできました。

今は、そんな暮らしの中で出会ったフィリピン人女性との間に娘も生まれ、家族として暮らしています。

電気代が払えず、暗闇で食事をすることもしばしば…経済的には決して豊かとは言えない暮らし。時おり日本の歌謡曲を口ずさみながら、新しい家族との暮らしを楽しんでいるように見える平山さん。

ある日、昔話をしながら口にしたのは、日本に残してきた娘のこと。「日本にいる娘にもう一度会いたい…」。しかし、すでに結婚し、故郷を離れているため、居場所も分からないといいます。私たちは、日本で平山さんの娘を探し始めました。

言葉も分からない異国の地で全てを失いながら、新たな居場所を見つけた男の10年間の記録。

<尾野真千子 インタビュー> <尾野真千子 インタビュー>

――今回のオファーの感想を聞かせてください。

実は、今回のディレクターさんと以前から知り合いで、この映像を見せていただいたことがあって。そのときは、自分の知らない“未知の生き方”に触れて心を動かされ、いろいろな人生があるのだなと考えさせられました。

そしてこの度、語りを担当させていただけることになり、あの時感じた驚きを自分の声で皆さんにお伝えできることを、とてもうれしく感じました。皆さんに「こういう世界があるの、知ってる?」と呼びかけられるような感じがして、ちょっと面白いなとも思います。

――日本に娘を残してフィリピンへ渡り、だまされて一文無しになって、現地で出会った女性との間に娘が生まれ…そんな平山さんの人生を見て、どう思いましたか?

「面白いことしているなぁ」と思いました。どうしようもないなと思いつつも、どこか憎めないんですよね。いつも笑顔で穏やかで、幸せそうで。

中盤で「この時の流れは、なんだろう…」というナレーションがあるのですが、本当にそう思うほどゆったりしていて。きっと今までいろいろな人に助けられてきたから、平山さん自身も周りにやさしいのかなと思います。

経済的に豊かとは言えなくても、いろいろあっても、平山さんが笑顔で生きていられるのは、フィリピンで出会った女性の支えが大きいのではないでしょうか。平山さんは、良い人に出会ったのだと思います。

――流れに身を任せるような生き方に対して、思うことはありましたか?

私もたぶん、流れに身を任せるタイプだと思います。出演する作品の選び方もですし、生き方もそう。「共感」とはまた少し違うかもしれませんが、見ていて感じるところはありました。そういった意味では、平山さんも私も自由人なのかもしれません(笑)。

――尾野さんは現在、連続テレビ小説『虎に翼』(NHK)で語りを担当していますが、同じナレーションの仕事でも、『ザ・ノンフィクション』とは違いますか?

やっぱり全然違いますね。ドキュメンタリーの語りは、自分とはまったく違う世界のことを、私の声で皆さんにしっかり伝えなければいけない、ということを一番に考えています

ドラマの語りは、主人公の気持ちや私の気持ちなどいろいろ入りますし、ドキュメンタリーと反対で“同じ世界にいる”という感覚があるので、「伝える」ことに「お芝居」が加わると思います。

――最後に、視聴者の皆さんへ向けてメッセージをお願いします。

この映像には、人間にとって必要なことがたくさん詰まっていると思います。平山さんや彼を取り巻く人々の生き方、接し方、感じ方…見てくださる皆さんも、何か気づかされるところがあるかもしれません。一見、どうしようもなく思える平山さんが、私たちにいろいろなことを教えてくれている。そのことが、私はとても胸に響きました。

こんなに興味を引かれる平山さんに出会えたことは、 私にとって次の”第一歩“になる気がします。皆さんはどんなことを感じるか、ぜひ聞いてみたいです。

<尾野真千子 “語り”の一部を先行公開>

<予告動画>

YouTube「FUJITV GLOBAL CHANNEL」で、『ザ・ノンフィクション』の予告動画を配信中!4月28日(日)14時~「私の父のなれのはて~全てを失った男の楽園~」予告。

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