「なんでこんなにエモいの!?」『シティーハンター』だけじゃない!80年代ジャンプアニメの名エンディング

Netflix『シティーハンター』(C)北条司/コアミックス 1985

2024年4月25日、Net flixにて映画『シティーハンター』の配信がスタートとなった。冴羽獠を演じる鈴木亮平さんをはじめ、豪華キャスト陣のダイナミックでスリリングな演技が注目だが、配信前から大きな話題を集めていたのが、エンディング曲として使用されているTM NETWORKによる『Get Wild Continual』だ。

エンディング曲は、物語のラストを飾る大切なもの。『Get Wild』は1987年から放送されたテレビアニメ『シティーハンター』でエンディングに使用された楽曲で、今回の映画のために新たにレコーディングされたのがこの曲だ。

アニメ『シティーハンター』は本編からエンディングへの入り方が特徴的で、そこで流れる『Get Wild』のかっこよさは令和の現代でもたびたび話題に上がる。また『シティーハンター2』でも同じくTM NETWORKによる楽曲『STILL LOVE HER (失われた風景)』が使用されており、今風に言えば「非常にエモい」エンディングだった。

アニメ本編とは違って、キャラのセンチメンタルな心象をあらわす映像が使われるというアニメのエンディングは少なくない。今回は、80年代に放送された『週刊少年ジャンプ』の作品に絞って名エンディングを振り返っていきたい。

■大人になって聞くとよりしみる!元祖『ドラゴンボール』

1986年から、毎週水曜19時に放送されていた元祖『ドラゴンボール』。原作の1話から第23回天下一武道会の終わりまでが描かれ、平均視聴率も21.2%と高かった。ちなみに最高視聴率は47話で、悟空とブルマが亀仙人の家に潜水艦を借りに行くが、亀仙人がミクロバンドで小さくなり、ブルマのトイレを覗こうとするエピソードだった。

本作のエンディング曲として使用されていたのが、橋本潮さんが歌う『ロマンティックあげるよ』。勢いが良く元気な曲調のオープニングとは反対に、ポップながら繊細なメロディーのしっとりした名曲だ。この曲を聞くと、なんだかセンチメンタルな気分になるのは筆者だけだろうか。

同エンディングでの主人公はブルマ。短い時間の中に、悟空とドラゴンボール探しの冒険に出る彼女の覚悟、期待、寂しさ、強さといったあらゆる感情が表現されていた。子どもが聞いてもピンと来ないかもしれないが、大人になって歌詞を読むと、グッとくるものがある。

雨に濡れた窓の前に座るアンニュイな雰囲気のブルマが、ガラス越しにこちらを見ているエンディングの映像は、本編での彼女のイメージとはまた違うものだった。

■タイアップ企画の成功例!名曲揃いの『ハイスクール!奇面組』

1985年の土曜19時30分からは、『ハイスクール!奇面組』が放送されていた。同作は、顔の圧が強いリーダー・一堂零を中心とする5人の個性的なメンバーで結成された「奇面組」が繰り広げるドタバタコメディ。個性豊かなキャラたちのギャグに、当時の子どもたちは毎週腹を抱えて笑っていたものだ。

この『ハイスクール!奇面組』には、オープニング・エンディング曲が多数存在し、頻繁に曲が変わった。歌っていたのは、「おニャン子クラブ」のメンバー高井麻巳子さん&岩井由紀子さんで結成されたデュオ「うしろゆびさされ組」と、彼女たちの解散後に工藤静香さん&生稲晃子さん&斉藤満喜子さんで結成されたトリオ「うしろ髪ひかれ隊」だ。

そして、彼女たちに楽曲を提供していたのが後藤次利さんと秋元康さんである。この最強タッグによって生み出されたエンディング曲は、言わずもがな、名曲揃いだった。全体的に曲調はポップで、アイドルらしさ全開。思わず一緒に歌って踊りたくなるようなワクワク感もあった。

『猫舌ごころも恋のうち』や『バナナの涙』など個性的なタイトルの曲も多く、歌詞は女子学生目線の恋心を表現したキュートな内容。映像も宇留千絵(うるちえ)が誰かとのデートのために一生懸命に洋服を選んでいるものだったり、天野邪子(あまのじゃこ)や織田魔利(おだまり)といった女子キャラたちが想い人にラブレターを渡すものだったりと、本編のイメージとは違うキャラの描き方が魅力的だった。

■クリスタルキングのハイトーンボイスが響き渡る『北斗の拳』

『キャプテン翼』の『冬のライオン』や『聖闘士星矢』の『永遠ブルー』、『きまぐれオレン☆ロード』の『夏のミラージュ』など、80年代の『ジャンプ』アニメのエンディングはどこか寂しい気持ちになるような楽曲が使用されることが多かった。

同じような例として、1984年に毎週木曜19時から放送されていた『北斗の拳』の『ユリア…永遠に』を思い浮かべる人も多いのではないだろうか。この楽曲は運命に翻弄されたケンシロウの、ユリアに対する愛を表現した、クリスタルキングによる曲。曲調はオープニングの力強さから一変したバラードで、クリスタルキングの美しいハイトーンボイスが切なさをかきたてる名曲だ。

そして、ラオウとケンシロウの対決に突入した物語終盤からは、エンディング曲がKODOMO BANDOが歌う『DRY YOUR TEARS』に変わる。こちらは『ユリア…永遠に』よりもさらにしっとりしたバラード。映像では暗い森に日が昇っていく様子が描かれ、本編での過酷な戦いの間のほんのわずかな休息を感じさせるような静かなエンディングになっていた。

かつてはアニメの世界観に合わせた「アニメのための曲」が多かったが、80年代に入ると、今回振り返った作品のように、タイアップやアーティストを起用した作品も増えていく。80年代のエモいオープニング・エンディング曲たちは、間違いなくアニソン史の変化の一端を担ったといえるだろう。

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