「打てれば1日仕事したってことになる」ソフトバンク中村晃〝勝負の切り札〟への向き合い方

7回2死二塁、右前適時打を放ち、進塁した二塁上でガッツポーズする代打中村晃(撮影・西田忠信)

◆ソフトバンク2―1西武(27日、みずほペイペイドーム)

ソフトバンクの中村晃外野手(34)が代打で値千金の同点適時打を放った。

全員がベンチから出て中村晃を祝福した。1点を追う7回2死二塁で登場すると、今井のスライダーを右前へ運び塁上で力強くガッツポーズ。直後に代走を送られベンチへ戻った際、チームメートが笑顔で出迎えた。「喜んでくれるというのが一番うれしいですよね」と冷静に振り返った。

出場16試合のうち、代打から出場が12試合と今季はここぞの場面での起用が多い。それだけに「1日打てないのと一緒なので。1打席でもそれはダメージはあります」と代打の難しさを語る。さらに決して状態も万全ではない中だけに先発出場も含め11打席安打なしともがいていた。「普通に安打が出ていなかったので。そこら辺の悔しさはありましたし。今日はたまたま安打を打てましたけど、出て良かったなと」と振り返った。

決して楽ではない代打でも11打数4安打。「基本的には来た球にしっかり合わして」とその意識を口にする。その上で「自分のスイングをすることじゃないですか。それをするためにはどうしたらいいかを整理していくようにしていますね」。5回ごろからベンチ裏で素振りをし始めるなどは入念な準備を欠かさず結果を残している。

小久保監督も最大限の賛辞を贈るなど、ここ一番での信頼は絶大だ。中村晃は「今日みたいに打てれば1日仕事したってことになるので。いいこともあるし、悪いこともあるんじゃないかな」。〝勝負の切り札〟としての職人技をこれからも見せてくれるはずだ。(鬼塚淳乃介)

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