御影道中初の「瑞泉寺版」 「井波下向」550年で25年9月計画

御影道中で吉崎別院に到着した御影を載せた神輿。南砺市の井波別院瑞泉寺でも実施が計画されている=23日、あわら市内

 浄土真宗中興の祖である蓮如上人の絵像「御影(ごえい)」を年に一度、東本願寺(京都)から真宗大谷派吉崎別院(あわら市)に徒歩で運ぶ「蓮如上人御影道中」の井波別院瑞泉寺版(南砺市井波)が来年9月に初めて実施される見通しとなった。蓮如上人が同寺を最後に訪れた1475(文明7)年から、来年が550年の節目に当たり、地元関係者が計画している。28日は大福寺(同市大窪)の周辺を御影道中で使う輿車(こしぐるま)が練る“テスト巡回”を行う。

 計画しているのは、真宗大谷派大福寺の太田浩史住職(68)。太田住職によると、吉崎別院から南砺市の井波別院瑞泉寺までのコース約100キロを「御影」を載せた輿車を引き、数日かけて歩く。

 蓮如上人が瑞泉寺を訪れた時の「井波下向(げこう)」の足跡を資料から調べ、加賀、小松、金沢市から南砺市に入るルートを決める。太田住職は蓮如上人御影道中で随行する僧侶「随行教導」を2度経験した。

 昨年の御影道中の後、東本願寺で会合が開かれた際、門徒の経験者でつくる「御影道中協力会」のメンバーの平均年齢が75歳以上で、高齢化が進んでいることが課題として取り上げられた。太田住職は「“ミニ御影道中”を蓮如ゆかりの地方で行い、若い世代に発信することが大切だ」と提案した。「井波下向の御影道中」の実施を目指すことにした。

 御影道中は23日に吉崎別院に到着し、5月2日まで御忌(ぎょき)法要が営まれる。この間の利用されない輿車を南砺市へ運び、大福寺の蓮如上人の絵像を載せて、寺周辺の12.3キロのコースを巡回するテスト巡回「大福寺御影道中」を28日午前中に行う。当日は稚児行列の子供47人も参加し、約300メートルの区間を歩く。

 太田住職は「今回のテスト巡回で課題を洗い出して来年につなげたい。蓮如上人の御下向を追体験できる魅力を子供たちにも伝えたい」と意欲を話した。

 ★蓮如上人御影道中 北陸で布教に励んだ蓮如上人をしのび、年に一度、蓮如上人の絵像「御影」を京都市の東本願寺からあわら市の吉崎別院に運ぶ。江戸時代に始まり、今年で351回目。往路の「御下向」は琵琶湖西岸を経由して約240キロを7日間で歩き、法要の後、京都に帰る復路「ご上洛」は湖東回りで約280キロを8日間かけて歩く。

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