●5月26日まで
金沢21世紀美術館で開催中の「冨田伊織 新世界『透明標本』展」(北國新聞社主催)は会期2日目の27日、大型連休を楽しむ家族連れや観光客でにぎわった。肉の部分を残したまま内部構造を透かし見せる500点超の標本は、生き物の機能的な美しさを浮き彫りにし、来場者はアート感覚で触れ合いながら多様な生物の特徴に理解を深めた。
透明標本は、生物の体を傷つけずに透明化の処理を施すため、生きていた時の姿をほうふつさせる状態で骨格や内臓を観察できる。化学反応によって硬い骨を赤紫に、軟骨を青に色分けしており、生物が元々持つ体色と重なることでカラフルな作品に仕上がる。
イカやタコなどの軟体生物は肉に軟骨成分が含まれているため全身が淡いブルーに染まる。家族で訪れた宮下愛佳さん(11)=金沢市=はガラス細工のようなイカの美しさが印象に残ったといい、「脳も透けて見えた。理科の授業もこんなきれいな標本で学べたら楽しいと思う」と話した。
5月26日まで。入場料は一般1000円、中高生800円、小学生600円。