過去最高の投球内容でメジャー2勝目を飾った山本由伸の“変化”に米メディア興味津々「MLBレベルに達してない」と酷評され、改善できた球種とは?

NPB最強右腕がメジャーでの課題をクリアし、存分にポテンシャルを発揮した。

ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸が現地4月25日、敵地でのワシントン・ナショナルズ戦に先発し、6回を投げ4安打7奪三振無失点に抑える好投で、今月6日のシカゴ・カブス戦以来となる今季2勝目を挙げた。試合はロースコアでの展開が続いたものの、ドジャースが2対1で接戦を制した。

日本人右腕のピッチングは最後まで崩れなかった。2試合連続のクオリティスタート(QS)を達成した山本の投球にはメジャー移籍後、「最高の内容」との評価が米メディアで話題となっている。そのうちのひとつ、米スポーツサイト『Yardbarker』は試合翌日、チームの同一カード3連勝を呼び込んだ背番号18の“ある変化”に注目している。

同メディアは「この試合でヤマモトが最も印象的だったのは、速球だ」と振り返っており、スプリットやカーブなど変化球をうまく組み合わせたことで、155キロ超のストレートがより絶大な効果を発揮していたと高く評価している。

なぜなら、「米国でのキャリアを歩み始めた当初、彼の速球はメジャーリーグのレベルに達しているとは言い難かった」とストレートを酷評。辛口に指摘しながら、「彼のストレートに対し、相手打者は打率.335、長打率.710のスタッツを記録しており、それがしばしば失点につながっていた」と論じ、これまでの不安定さに言及している。

事実、MLBデビュー戦となった韓国でのサンディエゴ・パドレス戦以降、直球を痛打される場面がたびたび目立っていた。4失点(自責3)を喫した19日のニューヨーク・メッツ戦でも被安打7のうち、4本がストレートを狙われ、2回表にはDJ.スチュワートに初球154キロのそれを右中間スタンドに豪快に運ばれた。

同メディアは、ナショナルズ戦まで登板する間に山本が直球と変化球の組み立ての改善に取り組んでいたことなどを説明。そのうえで、「結局ヤマモトがこの日、速球で許したヒットは6回裏にジョーイ・メネセスに打たれた第3打席の中安打1本だけ。MLBでのキャリアで、最高のスタートとなった」と締めくくっている。
またトピックでは、山本自身が「これまでで、ベストのピッチング」と自画自賛しているコメントや、デーブ・ロバーツ監督が「(彼は)先発するたびに良くなっている」と、この日の投球内容を称えたことなどを紹介している。

過去2度の登板で露呈した序盤での失点をこのゲームでは与えることなく、小気味の良いピッチングを繰り広げた山本。さらに、5回裏には強烈なピッチャー返しが顔面付近を襲うも、間一髪のところで打球をスーパーキャッチ。NPB時代から定評のあるフィールディングスキルを披露し、敵地の観衆を沸かせた。このナショナルズ戦のマウンドをきっかけに、日本最強右腕がさらに白星を重ねてくれることを大いに期待したい。

構成●THE DIGEST編集部

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