地震被災の古本屋が感謝の再出発 富山県高岡市内で移転営業

移転先で営業を始めた堀田さん

 能登半島地震で被災した富山県高岡市伏木古国府の古書店「古本なるや」が27日、同市伏木湊町に移転し、営業を再開した。店は悩みを抱える人が訪れる「話せる古本屋」として知られ、店主の堀田晶さん(49)は人のつながりを深められる場を伏木に残そうと再出発の準備を進めてきた。常連客や住民から物心両面の支援を受け、6年前の開店日と同じ日に再スタートを切り「感謝しかない」と話す。

 移転先は高岡市伏木湊町の酒店の倉庫。移転前から使用していた本棚や机を置き、文芸を中心に約千冊をそろえた。「揺れが怖い」と言い、地震に備えて本は高く積まないように並べた。

 生活困窮者を支援するNPO法人に勤める堀田さんは、気軽に悩みを話すことのできる場をつくろうと2018年に同市伏木古国府で店を開いた。能登半島地震の液状化現象で店は傾いて床や壁がひび割れ、大規模半壊の判定を受けた。他市への移転の誘いもあったが、「伏木で生まれた人のつながりを大切にしたい」と伏木地区での再開にこだわった。

 堀田さんは大災害を経験し、人のつながりの重要さを改めて実感したという。「孤立が最大の敵。これからも生きづらさを抱える人が気軽に集える場をつくりたい」と話している。

© 株式会社北日本新聞社