仲野太賀に注目!NHK朝ドラ「虎に翼」で寅子と結婚…そして、もうすぐ“優三ロス”が起こる

仲野太賀(C)日刊ゲンダイ

多彩な登場人物とテンポのいい展開で目が離せないNHK連続テレビ小説「虎に翼」で、いい味を出しているのが、ヒロイン猪爪寅子(伊藤沙莉)の家に下宿している司法浪人・佐田優三役の仲野太賀だ。

「高等試験(司法試験)に落ち続けている我が身より、寅子の勉強を心配する人のよさ。夕食の時、自分のふがいなさに泣きべそをかきながら、3杯目もしっかりお代わりするとぼけた居候は、ほのぼのとします。脇役のさらに脇といった役どころですが、仲野でなければあのおかしみは出せません。コテコテのギャグもシリアスもこなす、いまいちばん注目の役者じゃないでしょうか」(ドラマ制作会社プロデューサー)

テレビ東京系で放送中の宮藤官九郎が監督・脚本の土曜深夜ドラマ「季節のない街」では、東日本大震災の仮設住宅地区の自称青年部長。主人公の半助(池松壮亮)を助ける、ひょうきんだけど、「母親の愛情に飢えた、ある意味もっとも可哀想な男」として宮藤は描いている。

仲野の演技が高く評価されていることは、日本アカデミー賞、毎日映画コンクール、ブルーリボン賞を次々と受賞していることでも明らかだけれど、いずれも「助演賞」である。どこまでも主役盛り上げが立ち位置なのか。

「真面目に懸命に生きているのに、いつも思っていたのとは違う人生になってしまう不器用な人物を演じさせたら、ピカイチですよ。再来年のNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で主人公・豊臣秀長役に抜擢されましたが、兄・秀吉の天下取りを裏で支えながら、最期は朝鮮侵攻や千利休切腹などに振り回されて病死します。主役でも、やはり華々しさとは無縁なんです。でも、“男らしさ”とか“男なんだから”がジェンダーの押しつけとされるいま、仲野が演じるキャラたちは、実は自然で自由な生き方なのかもしれません」(テレビ情報誌編集デスク)

■もうすぐ“優三ロス”が…

では、朝ドラ「虎に翼」の優三はこれからどうなるのか。高等試験でも寅子に先を越され、結局、法曹の夢を断念して工場に住み込みで働くことになる。早くに両親を亡くした優三にとって、人生で何度目かの挫折である。しかし、女性初の弁護士になって、いよいよ“嫁のもらい手のなくなった”寅子にプロポーズ、今度は夫婦になることで支えるという。式も挙げないまま新婚生活が始まり、子どももできるが、召集令状が来る。

優三のモデルの和田芳夫は中国に派遣され、なんとか生き延びるものの、胸膜炎を発症して、敗戦後、長崎まで引き揚げてきて死去する。ああ、なんたる悲運。ドラマでは、その死を寅子が知るのは、終戦から1年以上もたってからである。最期の様子は戦友が知らせに来る。

「ものすごい優三ロスが起こるでしょうね。テレビの前は滂沱の涙ですよ。トラつば序盤のヤマ場です」(前出の編集デスク)

ドラマはここから戦後編になり、寅子は次は裁判官をめざす。

(コラムニスト・海原かみな)

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