木村拓哉「Believe」初回好発進は“ご祝儀”?堺雅人や長谷川博己はやっぱり役者として格が違う(桧山珠美)

木村拓哉(C)日刊ゲンダイ

【桧山珠美 あれもこれも言わせて】

春ドラマがほぼほぼ出揃った中、後出しジャンケンのように今週から始まったのが木村拓哉主演ドラマ「Believe~君にかける橋~」(テレビ朝日系)だ。

毎度のことだが、キムタクドラマはなぜかいつもスロースタート。思うに、どれも初回はご祝儀視聴率でよかったりするが、2週目はダウンすることが多い。よっぽど面白いものは別として。

うがった見方かもしれないが、仮に他のドラマと横一線でスタートして視聴率が低いと目も当てられないので、他のドラマが2週目、3週目になり、視聴率が落ち着いたところで始めて、ご祝儀視聴率で目立とうという作戦ではないか。

それだけではない。キムタクドラマおなじみの豪華な共演者たち。今回も北大路欣也や天海祐希、竹内涼真、斎藤工、上川隆也、小日向文世……と主役クラスで固めた。

これでもかの番宣攻勢だが、今回も「帰れマンデー見っけ隊!! 3時間SP 木村拓哉参戦帰れま10&秘境バスサンド!」に出演。共演の竹内や斎藤を引き連れ、回転寿司「銚子丸」の人気ベスト10当てにチャレンジしていた。

キムタクが番宣で出演するとなぜか接待番組になって面白さが半減するのもいつものこと。今回も初共演の竹内は「ずっと共演したかった」とおべんちゃら。さらに「木村さんがロケしているところに小さい時に見に行ったりしてました」と好きだった告白も。「ロンバケ会」をやっているという斎藤は「あの空気感、あの世界観、全キャラクターの織りなすものに浸りたい」と語った。聞いている方が恥ずかしくなった。

後輩の亀梨和也にも抜かれ

それにしても、斎藤が話している間のキムタクのドヤ顔ときたら。

事前番組を見たが、相変わらずのキムタク演技。しかも、刑務所シーンでは丸刈りにもなっていなくて、刑務所コスプレにしか見えない。高倉健の時代と違い、今は刑務所も丸刈り強制ではないのかもしれないが、気合を入れて丸刈りにでもしてくれれば、「やるじゃん」となったのに。

マクドナルドにオープンハウス……キムタクのCMを受け継いだ堺雅人はキムタクより1つ下、今期の日曜劇場「アンチヒーロー」(TBS系)で、さすがの演技力で視聴者を魅了している長谷川博己は5歳下。どちらもインタビューなどを見ても話が深い。一方のキムタクはいまだに若ぶり、痛々しいったらありゃしない。

長年、人気アイドルとして活躍し、数々のドラマをヒットさせた功績は認めるとしても彼らと格の違いは歴然。それでも良くも悪くも注目度は高かった。しかし、テレ朝サイトのTver視聴ランキングで亀梨和也「Destiny」に抜かれ現在2位に甘んじている。キムタク1強時代の亡霊に取り憑かれているテレ朝も、お気の毒。

(桧山珠美/コラムニスト)

© 株式会社日刊現代