愛知の人気うなぎ店が外国産を「三河産」と偽装…ふるさと納税返礼品を送られた寄付者はどうなる?

看板には「三河産」と書かれていた(C)共同通信社

「三河産鰻使用店」

週末の昼時ともなると、行列ができる人気のうなぎ店が、店の看板やメニューに「三河産」と表示しながら、中国産や台湾産のうなぎを使い、荒稼ぎしていた。

愛知県西尾市のうなぎ料理店「炭火職人うなみ」がうなぎの産地を偽って表示し、客に提供したとして、愛知県警は25日、男性店長(49)と運営会社を不正競争防止法違反の疑いで書類送検した。

昨年5月、「返礼品で中国産のうなぎを送っているという噂がある」と情報提供があった。県警が10月、店で提供されたうな丼を入手し、鑑定したところ、中国産の可能性が高いことが判明した。産地偽装は4年前から行われ、昨年4月以降、店で提供していたうなぎの9割が中国産で、同年度の店の売り上げは約2億円だった。

調べに対し、店長は「三河産うなぎのブランド力にあやかり、売り上げを上げるためだった」と供述しているという。

同店は西尾市のふるさと納税として「うなぎのかば焼き」を扱い、昨年度集まった寄付金は2億6000万円超と人気商品だった。

「店側は返礼品に関しては産地偽装を否定しているが、工場で保管されていた商品を鑑定した結果、一部を除いて外国産と判明した。ただ、すでに返礼品として発送されたうなぎを調べたら、国産だった。ふるさと納税の取扱量が急増したため、三河産だけではさばききれなくなったようだ」(捜査事情通)

西尾市は「うなみ」の商品の取り扱いを中止しているが、産地偽装の疑いがある「うなぎのかば焼き」を送られた寄付者はどうなるのか。ふるさと納税を扱う同市秘書政策課に聞いた。

「警察の捜査で一定の期間、産地偽装があったことが明らかになり、業者が処分されれば、市としてもそれなりの対応をします。ただ、どれが産地偽装の商品だったか調べられないので、困っています」(担当者)

ふるさと納税をめぐる産地偽装は、全国各地で起きている。再発防止策はあるのか。

「我々の商取引は信頼関係で成り立っています。ですから今回の件は寝耳に水というか、がっかりです。取り扱っている600品目の返礼品をすべて調べられるかといえば、無理です。今後については信頼して取引していた中でウソがあったわけですから、常識的に考えたら難しいかなと思います」(担当者)

金に目がくらんだばかりに、地元の信頼を失った。

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