「春ドラマ」“期待度ランキング”上位3作品、第1話は実際どうだった? 徹底レビュー

(左から)川口春奈、山下智久、板谷由夏 クランクイン!

新生活のスタートと共に始まった春ドラマ。ドキドキのラブストーリーから、思わず胸が熱くなるお仕事ドラマまで、この春も見逃せない作品が続く。今回は、クランクイン!が事前に実施した2024年「期待の春ドラマ」ランキングTOP10でトップ3に輝いた作品の第1話を徹底レビューする。

■期待度第3位『9ボーダー』 恋愛ドラマで最高に輝く川口春奈と妖精さんのような松下洸平

『9ボーダー』(TBS系)は各年代のラストイヤーとなる“9ボーダー”にフォーカスし、19歳の八海(畑芽育)、29歳の七苗(川口春奈)、39歳の六月(木南晴夏)の今を描く。恋愛、仕事、結婚……と、誰もが“モヤっ”としがちなテーマを扱い、魅力的なキャラクターたちが恋に仕事にほん走する姿を写し出す。

主演は、『着飾る恋には理由があって』(TBS系)や『silent』(フジテレビ系)など数々の恋愛ドラマで脚光を浴びた川口春奈。その姉妹役が畑芽育、木南晴夏、共演の男性陣に松下洸平、井之脇海、木戸大聖と注目のキャストを揃えたことが、ドラマスタート前の期待値を押し上げた一因だろう。やはり初回でも俳優陣の魅力は作品を強くけん引していたように思う。

第1話では3姉妹の仕事や恋愛事情を紐解きながら、特にしっかり者の次女・七苗の“彼氏事情”にせまる。そこで、視聴者の心をグッとつかんだのが、松下洸平演じるコウタロウの姿だ。松下は得意な歌を武器に、ギターの弾き語りで初登場を飾りインパクトを残す。さらにこのコウタロウ、記憶喪失で過去のことを全く覚えていないという。なんだかフワフワした不思議な魅力はSNSでも「まるで妖精のよう」と話題になるくらい。松下は1話からその存在感を遺憾なく発揮した。コウタロウは今後のエピソードでも重要なキーとなるのではないか。

■期待度第2位『東京タワー』 永瀬廉が表現する文学的な美しさを堪能

20歳上の女性と禁断の恋に落ちるというセンセーショナルな題材を描くのが『東京タワー』(テレビ朝日系)だ。医大生の透を永瀬廉が、そして恋の相手、詩史役を板谷由夏が演じる。さらに共演にはTravis Japanの松田元太、MEGUMIが名を連ね、許されざる恋をじっくり描く。

江國香織の同名小説を原作とし、テレビドラマとしてリメイクした本作。これまでにも岡田准一と黒木瞳が出演した映画版や、ユ・アインとキム・ヒエが出演した韓国リメイク版『密会』などさまざまな作品が作られてきた名作だけに、今回のドラマ版では青年が大人の女性と恋をする様子をどう魅せていくのかに期待が高まる。

第1話では、特に永瀬と松田がとらえた透と耕二というキャラクターの魅力が光っていた。永瀬は透が詩史という女性に惹(ひ)かれていく過程をみずみずしく演じる。そこに過剰な会話やコミュニケーションは必要なく、ただ“空気”で惹かれ合う2人の思い。それが永瀬の眼差しやモノローグから鮮やかに滲み出ていた。さらに「透に一抹の焦りを感じる耕二」という構図も、やはり松田の表現の力で端的に表わされる。1話が25分程度と短い作品だが、原作が持つ文学的な美しさがしっかりと伝わってきた。

■期待度第1位『ブルーモーメント』 山下智久のお仕事ドラマにハズレなし!!

山下智久が5年ぶりに民放ドラマで主演を務める『ブルーモーメント』(フジテレビ系)は、気象庁気象研究所の研究官の晴原(山下智久)が、気象災害から人命を守るSDM(特別災害対策本部)の一員として奮闘する姿を描く。共演は出口夏希、水上恒司、岡部大、仁村紗和。

『コード・ブルー ‐ドクターヘリ緊急救命‐』(フジテレビ系)で強いインパクトを残した山下が、再び人命を預かるお仕事ドラマに挑戦するとなると、やはりワクワクが止まらない。さらに今回の晴原は、爽やかな笑顔をトレードマークにテレビのお天気コーナーで活躍する人気者……であると同時に、SDMチーフとして災害現場を統括するという異なる顔を併せ持つ。奥深いキャラクターだからこそ、山下の演じ分けが1つの見どころとなりそうだ。

1話の時点ですでに熱い展開が目白押しだった『ブルーモーメント』。ツンデレ気味な晴原の魅力はもちろん、SDMチームメンバーの連携にも胸が熱くなる。さらに友情出演で田中圭が登場したり、晴原の亡き婚約者が本田翼であったりと主役級キャストがこれでもかと作品を盛り上げる。豪華キャストや、スケールの大きい美術セット、そして晴原率いるSDMメンバーのプロフェッショナルな活躍が息つく暇もないほどの盛り上がりをもたらした。2話以降もこの熱量が続くことが期待され、毎話見逃せないドラマとなりそうだ。

キャストの豪華さが魅力の春ドラマ。ランキング上位の作品はどれもキャラクターの良さが際立っており、ドラマ自体のおもしろさをさらに盛り上げている印象だ。俳優たちの手腕が光る作品ゆえに、最後まで視聴者の心をガッチリつかんでくれそう。今後も、さらなる盛り上がりが期待できるだろう。(文:Nana Numoto)

© ブロードメディア株式会社