東京〜名古屋間で使える!速達新幹線“練り物”「ひかり号」ってなあに?

N700系新幹線 2024年01月17日撮影

JR東海が運行する東海道新幹線の東京〜名古屋間で、“速達タイプ”の「ひかり号」があるのをご存知でしょうか。同区間の所要時間は、最上位列車「のぞみ号」にて約1時間30分ですが、ほぼ変わらない所要時間で運行する「ひかり号」が設定されています。最近では、名古屋や京都・新大阪などを訪れるインバウンド(訪日観光客)の増加により、インバウンド向けの特別パス「JAPAN RAIL PASS」で利用可能な「ひかり号」以外でも、わずかな追加料金でビジネス利用の多い「のぞみ号」へ乗車可能であることから、「のぞみ号」も混雑傾向にあります。

東名阪を行き来するビジネスパーソンの利用が比較的少ない、実はメリットが多い「ひかり号」に焦点を当てて紹介します。

*2024年3月16日から6月30日までのダイヤを基に調査

速達タイプの「ひかり号」

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東京〜名古屋間での「のぞみ号」停車駅は途中、品川と新横浜のみの停車パターンに対して、「ひかり号」の停車パターンはいくつもあり複雑です。(こだま号は各駅停車)

今回紹介する速達タイプは、「のぞみ号」の停車駅プラス小田原または豊橋にのみ停車し、基本的に後続「のぞみ号」の追い抜きを受けることがありません。小田原は“かまぼこ”、豊橋は“ちくわ”が名産であることから、一部のファンからは「練り物ひかり」と呼ばれています。速達タイプ以外の「ひかり号」は、静岡と浜松に停車するもの、熱海・静岡・浜松に停車するもの、三島・静岡・浜松に停車するものなど、東京〜名古屋間の所要時間は平均2時間程度の列車が設定されています。

例外として新横浜始発の初電「ひかり533号 広島行き」は、小田原と静岡に停車するものの、後続品川始発の初電「のぞみ99号 博多行き」や、東京始発の初電「のぞみ1号 博多行き」に途中抜かされることなく先着します。

■ 例外の「ひかり533号」
ひかり533号・新横浜(6:00発)〜名古屋(7:25着)
のぞみ99号・品川(6:00発)〜名古屋(7:27着)
のぞみ1号・東京(6:00発)〜名古屋(7:34着) *N700S固定

速達タイプの「ひかり号」は、一部時間帯を除いて毎時設定されています。「ひかり633号 新大阪行き」を例にすると、東京を7時33分に発車し途中、品川・新横浜・小田原に停車して名古屋到着は9時14分と、所要時間はわずか1時間41分です。これは先行の「のぞみ11号」の所要時間1時間39分と比較して、2分しか変わりません。また、6分後に発車する後続の「のぞみ207号(運転日注意)」に途中抜かれることはなく、まさに“ほぼ”「のぞみ号」として利用することができます。

■ 速達タイプの「ひかり号」一例と比較対象の「のぞみ号」
のぞみ11号・東京(7:30発)〜名古屋(9:09着) *N700S固定 停車駅:品川・新横浜
ひかり633号・東京(7:33発)〜名古屋(9:14着) *N700S固定 停車駅:品川・新横浜・小田原
のぞみ207号・東京(7:39発)〜名古屋(9:16着) 停車駅:品川・新横浜

のぞみ17号・東京(8:30発)〜名古屋(10:09着) 停車駅:品川・新横浜
ひかり635号・東京(8:33発)〜名古屋(10:14着) 停車駅:品川・新横浜・豊橋

のぞみ21号・東京(9:30発)〜名古屋(11:09着) 停車駅:品川・新横浜
ひかり637号・東京(9:33発)〜名古屋(11:14着) 停車駅:品川・新横浜・小田原

のぞみ25号・東京(10:30発)〜名古屋(12:09着) 停車駅:品川・新横浜
ひかり639号・東京(10:33発)〜名古屋(12:14着) 停車駅:品川・新横浜・豊橋

車内設備やサービスに関しても「のぞみ号」と“ほぼ”同じです。「のぞみ号」の自由席は1号車から3号車までの3両であるのに対し、「ひかり号」は1号車から5号車の5両が自由席になっているのも特徴。グリーン車も8号車から10号車の3両設定されていて、廃止された車内販売に代わる「モバイルオーダーサービス」および、おしぼりサービスも行われています。また、7号車には「S WorkPシート」も設置されており、「ひかり号」であっても「のぞみ号」と同等のフルサービスを受けることができます。

N700A 「S WorkPシート」

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