県内小学校、夏休み遅らせる動き 猛暑を見据え熱中症対策

 今夏の猛暑を見据えた熱中症対策が社会全体で進む中、県内の小学校では本年度、対策の一つとして夏休みの期間を変更する動きが出ている。休みの合計日数は大きく変えずに、従来よりもスタートを遅らせ、8月いっぱいを夏季休業に充てる試みもある。可能な限り登下校時の熱中症リスクを低減させたい考えだが、“しんどい暑さ”がどの時期になるかは事前に見通すのは困難だ。学校現場では最善の対応へ模索が続く。

 県教育委員会によると、公立学校の夏休みは各校長が期間を決め、それぞれの市町村教委に届け出る。かつては、お盆を過ぎれば暑さが和らいでいたことなどから、本県の小学校は7月中旬ごろから8月中旬以降までの期間設定が主流だ。2023年度は終業式のピークが7月26日で、2学期の始業式は8月22日に最も多く行われた。

 一方で23年度は災害級の暑さに見舞われ、県内の学校現場でも熱中症事故が発生した。これを踏まえ本年度は、従来の期間設定を見直した小学校が少なくない。夏休みの開始日を例年よりも1週間ほど遅らせて7月の休みを減らし、厳しい暑さが見込まれる8月の休日を増やす対応だ。酒田市教委のまとめでは、全21小学校のうち、少なくとも6校、米沢市教委によると全14小学校のうち4校がこれに該当する。

 山形市教委によると、市内の全36小学校中、6校が8月1日を夏休みのスタートに設定している。このうち山形七小(原田健男校長、392人)は9月1日までを休み期間とした。

 同小では過去5年間の最高気温の平均を調べ、7月よりも8月の方が高い状況を参考にした上で、変更について保護者にも理解を求めた。特に午後2時以降の暑さが厳しく、同時間帯は下校時とあって熱中症のリスクは高まる。教育課程の効率的な編成により、必要な授業時数の確保に努めてきたことも今回の決断につながったという。

 原田校長は「子どもたちにとって安全で安心な学校生活を考えると、夏休みの実施時期の見直しは必要だ」と話す。とはいえ7月中も暑さが厳しくなる可能性があり、夏休みの変更に正解は見いだしにくい。ある山形市内の校長は「7月、または8月の休みを増やすかは“賭け”となってしまっている。本年度の実施結果を検証し、情報共有が進めば方向性が見えてくるのではないか」と展望した。

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