最も高血圧になりにくい食事パターンをAIで解析…日本の研究報告

単一の食材ではなく、食事パターンに着目

【役に立つオモシロ医学論文】

食事と血圧の関連性についてはこれまでにも数多くの研究が報告されています。

たとえば、乳製品や野菜、果物、魚などの摂取は血圧の低下と関連し、ファストフードや塩分の多いスナック菓子、肉類などの摂取は血圧の上昇と関連していることが知られています。

また、血圧の値は、外食の頻度や食べる速度、味付けの好みなども影響することが知られていますが、日常的な食事習慣が血圧にどのような影響をもたらすのかについて一貫した結論が得られていませんでした。そのような中、食事パターンと血圧の関連性を検討した研究論文が、栄養科学の専門誌に2024年2月5日付で掲載されました。

この研究では、仙台卸商センターの男性組合員447人が対象となりました。被験者に対してアンケートを行い、食品の摂取頻度、食事行動、調理方法に関するデータを収集しています。収集された食事に関するデータは、人工知能(AI)によってパターン化され、高血圧との関連性が2年間にわたって追跡調査されました。

その結果、食事パターンは「海産物とアルコール飲料」「低タンパク、低食物繊維、高炭水化物」「乳製品、野菜」「肉」の4つにパターン化されました。また、高血圧の発症リスクは、「海産物とアルコール飲料」を基準とすると、「乳製品・野菜」で61%、「肉」で63%、統計学的にも有意に低下しました。

これまでの研究において、肉類の摂取は血圧上昇と関連していました。しかし、食事パターンに着目することで、単一の食材とは異なる関係性が明らかにされています。

論文著者らは「複雑な食事パターンを総合的に解析する手法によって、食事と血圧の関連性をより深く理解できる」と考察しています。

(青島周一/勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰)

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