「お金のない私の救世主」中国のマクドナルドとバーガーキングで「貧乏セット」大流行…国は豊かでも若者は「コスパ」優先

中国のバーガーキング(写真:AP/アフロ)

GDP世界第2位の中国で、飲食店がこぞって提供する「貧乏セット」が人気を集めている。たとえばマクドナルドはハンバーガーとドリンクなどの組み合わせで13.9元(約300円)、バーガーキングも同様の2品で9.9元という破格で売り出し中。

人々はこれらを自嘲気味に「貧乏セット」と呼び、盛んにSNSで発信している。4月22日配信の西日本新聞がこの現象を報じると、「貧乏セット」が日本のXでトレンド入りした。

格安のセットメニューが流行する背景について、北京在住の中国人記者が話す。

「かつての中国は消費至上主義で、とにかく物を買うことに価値が置かれ、ローンを組んででもハイブランドを身につけるような若者も多かった。

ところが、コロナ禍や不動産不況により節約志向が強まり、いまでは自分にとって本当に必要なものを見極めてお金を使う傾向が強まりました。

そうしたなか、2019年、マクドナルドが12元(現在は13.9元まで値上がり)の激安セットを発売したのを皮切りに、バーガーキングやケンタッキーなど多くのファストフード店を中心に、次々と同様のメニューが打ち出されるようになりました。

あまりお金を持たない若年層は、それらを好んで食べ、次々にSNSに投稿しているのです」

実際、SNSをみてみると、以下のような投稿がみられた(翻訳は編集部)。

《貧乏セットを買うため、私は一時間運転していく。私は本当にお金がない》

《仕事の後、毎日マクドナルドの貧乏セットを食べているよ》

《マクドナルドの貧乏セットは、お金のない私の救世主》

《バーガーキングが私の家の前に来てほしい。10元の貧乏セットを頼みたい》

《バーガーキングの9.9元セットはコスパがいい》

そのほかの飲食店のセットを食べた客も、「貧乏」という言葉とともに感想を発信している。経済大国となった中国の人々も、懐事情はカツカツのようだ。

© 株式会社光文社