「不便になった」と利用客ため息 JR宇都宮線・快速ラビット運行半減 JR東、通過駅の需要に配慮 ファン「将来は全廃?」

利用客が往来するJR宇都宮駅。宇都宮線上り快速ラビットは姿を消し、夜の電光掲示板から「快速」の文字が消えた=4月中旬、宇都宮市川向町

 JR東日本の3月のダイヤ改正で、宇都宮線快速ラビットの運転本数がほぼ半減し、仕事などで本県と東京方面を往来する利用客から「不便になった」とため息が漏れている。JR東はこれまで快速が通過していた駅の利用者に配慮した形として、理解を求めている。「将来的には全廃になるのではないか」。今回の見直しをそう捉える鉄道ファンらもおり、ラビットの愛用者らは行く末を注視している。

 「ずっと乗ってきた快速が減るのはさみしい。どうしても不便を感じる」。本県と都内を頻繁に行き来する都内在住、会社経営永井彩華(ながいあやか)さん(33)=小山市出身=は残念がる。同市近郊では自身が経験したように都内まで通学する大学生も珍しくないとして「(快速が減って)都内での1人暮らしを選ぶ学生もいるのでは」と推測する。

 快速ラビットは朝と夜の通勤時間帯に運行し、宇都宮-上野駅間の所要時間は約90分。各駅停車より20分ほど早く移動できる。

 3月のダイヤ改正で、平日に上下線計9本あったラビットは4本に減った。上りの3本は夜に運行していたが、いずれも各駅停車に。下り6本は、4本に減った。土曜休日のラビットも上下計10本から4本に減少した。

 JR東大宮支社は「運転本数の見直しに当たり快速通過駅の利便性を損なわないよう、快速を各駅停車とした」と説明。宇都宮-上野駅間の停車駅は間々田や野木、栗橋、さいたま新都心など9駅増えることになる。

 高崎線の快速アーバンなど同様の見直しは各地で進んでいる。テレワークの浸透による利用客の減少なども背景にある。千葉県などを走る京葉線は通勤快速が廃止となり、利用客から批判が殺到した。同支社によると、ラビットに関する苦情は数件だったという。

 21年のダイヤ改正で大幅に減便した、神奈川県などを通る東海道線快速アクティーはその2年後に姿を消した。21年に通勤快速が廃止となった宇都宮線。3月の改正はラビット全廃の「前兆」とみる鉄道ファンもいる。

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