【矢板】高齢者らが気軽に通える市初の常設型サロン「いこいず」が、旧泉中の旧校舎を活用した複合施設、市泉きずな館に開設して間もなく1カ月。「大人の学校」をうたい、授業に見立てたさまざまな講座が展開されている。参加者は「体育」で運動し、「社会」は座学で学び、テーブルを囲んで「給食」を食べる。教え、教えられる高齢者主体の居場所をのぞいてみた。
子どもたちが手をいっぱいに広げ、ダンス音楽に乗って体を揺らす。講座に参加した女性3人は手拍子で応えた。24日に初めて行われた「交流授業 ふれあいあそび」では25人の幼児と一緒にいす取りゲームなども楽しんだ。
交流授業は旧校舎内に同居する泉保育所の幼児と、高齢者が月1回交流する目玉の講座だ。参加した福田好子(ふくだよしこ)さん(85)=塩田=は、宇都宮市に住む3歳と1歳のひ孫と重ね合わせ「ひ孫の幼稚園での様子が思い描けた。かわいくて仕方ない」と満面の笑み。保育所職員によると、幼児にとっても親族以外の高齢者に遊んでもらう貴重な体験という。
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毎週金曜午前は「いこいず体操教室」の時間。要介護支援認定を受けた人が再認定にならないように昨年度、市が泉公民館で「泉通いの場」として始め、本年度いこいずに移行した。61人が登録する人気講座だ。
「はい、次は矢板すこやか体操です」。26日の体操教室は市民ボランティアのシルバーサポーター6人が講師役となり、参加した25人はストレッチ、健康体操、脳トレなどバラエティーに富む「体操」に取り組んだ。
講師役を務めた石黒富代(いしぐろとみよ)さん(76)=塩田=は交流授業など他講座では習う側だ。「講師役は緊張するが、何をしようか考えるのでいい。教え教えられ、おしゃべりするのが楽しい」と充実感をにじませた。
市職員や市民が講師となる出前講座も開かれる。17日は市高齢対策課職員から介護保険の仕組みなどを学んだ。参加した5人は施設入所にかかる費用面などを職員に質問。参加者同士も各自の状況などについて活発に意見交換していた。
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いこいずは「給食」(1食500円)もあり、月-木曜は業者、金曜はボランティアの手作り弁当。
開所後の状況について、市高齢対策課の手塚宏子(てつかひろこ)課長補佐は「毎日何かやっていて楽しいと口コミが広がり、市街地からは遠いにもかかわらず泉地区以外の方の利用も多い。試行錯誤しながら工夫していきたい」と話した。