現在70歳、夫の年金「15万円」と自分の年金「7万円」で生活していましたが、夫が亡くなりました。この場合「遺族年金」は受け取れますか? 子どもも成人しているので、あまり受け取れないでしょうか?

遺族厚生年金が受け取れる

はじめに、遺族年金には遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類があります。

遺族基礎年金の受給対象者は「子のある配偶者」と「子」です。
この場合の「子」とは、18歳になった年度の3月31日までの子、20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態の子をいいます。

事例の場合は70歳の夫婦で、子は成人しているものとして話を進めます。そのため、遺族基礎年金の受給対象者ではありません。

次に遺族厚生年金の受給対象者は、「子のある配偶者」「子」「子のない配偶者」「父母」「孫」「祖父母」です。

「老齢厚生年金の受給権者であった方が死亡したとき」という遺族厚生年金の受給要件を満たす本事例で、妻は「子のない配偶者」として認められるため、遺族厚生年金の受給対象者となります。

夫の年金が15万円だった場合の遺族年金の金額

遺族厚生年金は亡くなった人の報酬比例部分の4分の3です。

ここでは夫が受け取っていた15万円の年金のうち、老齢基礎年金を6万円、報酬比例部分である老齢厚生年金を9万円として計算していきます。

老齢厚生年金を9万円とすると、報酬比例部分の4分の3なので遺族厚生年金は月額で6万7500円です。年額にすると81万円となります。

なお、老齢厚生年金は報酬比例部分以外にも経過的加算、加給年金で構成されていますが、今回は簡易的に老齢厚生年金=報酬比例部分として計算しています。

妻の老齢基礎年金と遺族年金を合わせると年額153万円

妻の老齢基礎年金の満額となる月6万8000円を受給しているとすると、遺族厚生年金6万7500円を合わせて、月に13万5500円を受け取れます。年額に換算すると162万6000円です。夫が亡くなる前は夫婦で月額21万8000円の年金収入があったので、8万2500円も収入が減ってしまいます。

夫婦2人から妻1人の生活になればそのぶん支出も減りますが、平均的な支出を考えると楽観視はできないといえるでしょう。総務省の調査によると、2023年の高齢者の単身無職世帯の支出は、非消費支出もあわせ平均で月15万7673円なので、毎月約2万2000円足りません。支出は家庭によって変わりますが、生活費の見直しも考えるべきでしょう。

そのため、貯蓄を取り崩していくか、働くことも考える必要があります。

万が一に備えて家族間で相談しておきましょう

大切な家族を失うことは悲しいことですが、のこされた家族はその後も生活が続きます。特に年金生活をしている夫婦は年金額が減ってしまうので、生活費の見直しも考える必要があるでしょう。そのためにも収入源となる年金額を把握することが大切です。

まずは年金額がいくらになるのかを確認し、万が一に備えることも必要でしょう。そのために、家族間で相談することをおすすめします。

出典

日本年金機構 遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)
日本年金機構 は行 報酬比例部分
総務省 家計調査報告 家計収支編 2023年(令和5年)平均結果の概要

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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