車好きの夫が、定年後は夢だったマツダの「ロードスター」を買いたいと言っています。退職金と貯金「1500万円」で、年金は夫婦で「月15万円」もらえる予定です。購入しても老後は問題ないでしょうか?

ロードスターの新車はいくら?

ロードスターシリーズはマツダを代表するスポーツカーといっても過言ではなく、車好きの人はもちろん一般的にも広く知られている車種の1つです。ロードスターといってもさまざまなグレードが存在し、機能やオプションの有無などによって価格が変わります。

例えば、上質なレザーシートを採用した「S Leather Package V Selection」の「2WD(6MT)」を選ぶと車両本体価格は355万3000円、各種オプションはつけずに税金保険料や登録費用、リサイクル費用を含めると約380万円です。メーカーセットやショップのオプションをつけると400万円を超えることもあります。

マイカーは維持費もかかる

初期費用として380万円支払ったとしても、それで費用負担がなくなるわけではありません。ロードスターに限らず車を購入して保有すると、ガソリン代や駐車場代、自動車保険、自動車税、車検、故障時の修理代などの維持費が発生します。

ソニー損保が発表しているデータでは、ロードスターが含まれる「オープン・クーペ」の1ヶ月あたりの車の維持費は1万5000円です。ただし、維持費は車種や車の使い方はもちろん、住んでいる地域によっても大きく変わることがあります。
例えば、駐車場代が都心と地方では価格差が大きいこともあるからです。5000円程度で借りられる場所もあれば、3万円以上負担しないと契約できないケースもあるかもしれません。

このように個別の事情によって大きく変わるため、自身が生活している環境をふまえてシミュレーションしてみましょう。

老後の暮らしに影響はあるのか

退職金を含む貯金が1500万円、年金は2人あわせて月15万円もらえる場合に、ロードスターを購入することで老後の暮らしに大きな影響は出るのでしょうか。これを判断するためには「そもそも老後は夫婦2人で毎月いくら支出が発生する可能性があるのか」を明確にする必要があります。

総務省統計局が発表している家計調査報告によると「65歳以上の夫婦のみの無職世帯」の消費支出と非消費支出をあわせた2023年の実支出は28万2497円となっています。今回は年金収入が2人合わせて月15万円のため、約13万円の赤字となってしまいます。
車の維持費は別で月額1万5000円かかるとすると、「赤字額は約14万5000円」にまで上がります。

年金以外に収入がない場合は預貯金から補填(ほてん)しなければならず、年間で174万円を取り崩す形になります。貯金は1500万円ありますが、ロードスターの初期費用380万円を全額賄うと残り1120万円です。1000万円以上残っているとまだ大丈夫と思いたくなるかもしれませんが、年間174万円の赤字が続くとわずか6年ちょっとで資金が底をついてしまう計算です。

65歳から考えても6年後はまだ70歳になったばかりです。人生100年時代ともいわれるなかで、仮に90歳まで生きるとすると残り20年どのように生活するのか対策しなければなりません。

もちろん定年後に好きな車を買うことが悪いわけではありませんが、初期費用や維持費がかかるのは事実です。家計への影響を最小限に抑えるためにも、収入を年金に依存せず、できる限り長く働いて資産の減少スピードを抑えることが大切です。

まとめ

本記事では「貯金1500万円、老後の年金は2人あわせて月15万円」もらえても、好きな車を買って悠々自適な暮らしができるわけではないことを解説しました。

もちろん老後の生活環境やお金の使い方、考え方や価値観は人それぞれです。ただし「退職金と年金があれば問題ない」と考えていても、自身の想定よりもはやく資金がなくなる可能性もあります。

老後に趣味を楽しむために、定年後も再雇用や転職などで長く働いて収入を確保することをおすすめします。

出典

マツダ株式会社 MAZDA ROADSTER グレード・価格
ソニー損害保険株式会社 2023年全国カーライフ実態調査
総務省統計局 家計調査報告(家計収支編)2023年(令和5年)平均結果の概要

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

© 株式会社ブレイク・フィールド社