再評価される「ロシア宇宙主義」の意義を問う書籍刊行 帯文は円城塔と東浩紀

河出書房新社はボリス・グロイスさん編『ロシア宇宙主義』を、4月30日(火)に刊行する。

この書籍は、再評価される思想「ロシア宇宙主義」の現代的意義を問うアンソロジー。

科学技術による死者の復活、人類進化による不死の達成など、宗教/哲学/科学/共産主義についてのエッセイが集成されている。

帯文は、作家の円城塔さんと、哲学者の東浩紀さんが担当している。

19世紀後半から20世紀にかけてロシアで見られた思想的潮流

「ロシア宇宙主義」は、19世紀後半から20世紀にかけてロシアで見られた思想的潮流。

宗教哲学者のニコライ・フョードロフさんに端を発する思想で、科学技術により不老不死を手に入れて人類を復活させ、地球を離れて宇宙に居住することを思案した。

1980年代以降、当時の書籍や詩や芸術作品に表れた思想から、研究者が再発見。その後のポストヒューマニズムや、ニック・ランドさんの著作等で知られる加速主義などに与えた影響が論じられている。

『屍者の帝国』円城塔と哲学者・東浩紀が帯文を担当

編者であるボリス・グロイスさんはソ連出身の美術批評家。

今回刊行される『ロシア宇宙主義』は、2018年に出版された『Russian Cosmism』を日本語訳したものとなる。

監訳は東京大学大学院総合文化研究科教授の乗松亨平さんが担当。

ゲンロン代表でロシア文学者の上田洋子さんや、ロシア文学研究者の平松潤奈さん、ロシア思想研究者の小俣智史さんも翻訳で参加している。

公開された書影には、ニコライ・フョードロフも登場するSF小説『屍者の帝国』などで知られる作家の円城塔さんと、ゲンロン創業者で哲学者の東浩紀さんが帯文を寄せており、注目度の高い一冊となりそうだ。

どこかの宇宙では、この理論は完全に正しいはずだ。死者はよみがえり、忘れられるものはない。あるいはこの宇宙においてさえ。円城塔-『ロシア宇宙主義』帯文より

フョードロフの博物館論に唸り、ボグダーノフの血液交換論に戦慄した。いまこそ読みたいロシア思想の臨界点!東浩紀-『ロシア宇宙主義』帯文より

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