中国の地方都市、文化観光の魅力向上に注力

中国の地方都市、文化観光の魅力向上に注力

 18日、遼寧省大連市老虎灘(ろうこたん)の漁人埠頭を訪れた観光客。(大連=新華社記者/魯鵬)

 【新華社瀋陽4月28日】中国遼寧省鞍山市でこのほど、27省の「C牌都市」(自動車のナンバープレートが「C」で始まる都市)が参加する「旅行先にはCを選ぶ」戦略発表会が行われた。鞍山(遼寧省)や洛陽(河南省)、淄博(山東省)、泉州(福建省)など27都市が「C都市連盟」を結成し、観光客層の互換やブランドマーケティング、商品設計などの面で協力し、一致団結して文化観光の魅力アップを共同で促進する方針を打ち出した。

 中国の自動車のナンバープレートに記載されるアルファベットA~Dのうち、「A」は省(自治区・直轄市)の政府所在都市を指し、「B」以降は都市の規模の大きい順につけられる。「C牌都市」の多くは「A」や「B」に分類される都市に比べると人口の規模が適度で、文化に独自色があり、文化観光資源も過度に開発されていない。キャパシティーが大きく、公共サービスが良好で、観光資源や観光客受け入れの面で独自の特色と優位性を備える。

 オンライン旅行会社(OTA)大手の携程集団(トリップドットコムグループ)によると、中国では大都市や有名な観光都市より、無数にある中小都市での「深度遊」と呼ばれる体験型観光の人気が高まっている。2023年に鞍山を訪れた観光客数は2019年比2.7倍になり、淄博や洛陽などの都市の観光客数も倍以上に増加した。

 携程集団の張旭(ちょう・きょく)副総裁は「『C都市連盟』結成は時宜にかなっている。若者のニーズに対応し、コストパフォーマンスの高い選択肢を提供するとともに、都市間協力を通じて地域統合型観光商品の共有を実現し、より大きな魅力を生み出すことができる」と述べた。

中国の地方都市、文化観光の魅力向上に注力

甘粛省嘉峪関(かよくかん)市の嘉峪関関城風景区。(2023年12月7日撮影、嘉峪関=新華社記者/方欣)

 上海グローバル都市研究院の馮翔(ふう・しょう)研究員によると、近年は欧州でも一部の都市が連盟を結成して定期的に協力事業を展開し、観光客が各都市の独自の魅力を発見し、深く理解できるよう取り組んでいるという。

 「C都市連盟」以外にも、中国では多くの都市がさまざまな形で協力を行っている。

 2023年には青海省海北チベット族自治州と甘粛省の酒泉市、嘉峪関市、金昌市、武威市、新疆ウイグル自治区の哈密(ハミ)市、内モンゴル自治区のアルシャー(阿拉善)盟などが「4省・自治区12都市」地域文化・観光連盟を結成し、観光コースを共同で設定している。

 同年6月には、大連(遼寧省)と大理(雲南省)、大同(山西省)、大慶(黒竜江省)の4都市が文化・観光分野で協力することに合意した。大連市文化・観光局の王文勇(おう・ぶんゆう)副局長によると、4都市は今後、文化・観光に関する展示会に共同で参加し、ブランドマーケティングを連携して行い、地域をまたぐ文化・観光商品を入念に開発していく。

 南開大学観光・サービス学院の徐虹(じょ・こう)教授は「多くの都市がさまざまな形で協力し、連盟を組むことからは、中国文化観光業の供給側において、新商品の開発と新たな組み合わせに大きな潜在力があることも見てとれる」と指摘する。将来的には、各地域が観光に関する生産要素の地域間流動を阻害する障壁やボトルネックを取り除き、サプライチェーンの業界の枠を超えた相互接続を実現し、文化観光の消費を促進し、国民生活に貢献する機能を一層発揮させる必要があるとの認識を示した。

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