「LoL」の2vs2格闘ゲーム「2XKO」プレイレポート:“遊びやすさ”と“奥深さ”の両立に舌を巻く!

4月27日より開催されている「EVO Japan 2024」にて、「リーグ・オブ・レジェンド」を題材とする2vs2対戦格闘ゲーム「2XKO」(旧名:Project L)の試遊が行われた。本記事では、こちらの試遊レポートをお届けしていこうと思う。

ブース全体の様子
オリジナル天板のアーケードコントローラー。
レバーレスの天板もオリジナルイラスト。

原作である「リーグ・オブ・レジェンド」(以下、LoL)は、MOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)と呼ばれるジャンルの基本無料オンライン対戦ゲームで、“世界で最もプレイ人口の多いPCゲーム”と言われているゲームだ。筆者もメインでよく遊ぶのは格闘ゲームながら、友人に誘われてプレイしたことがある。

本作「2XKO」は、そんな「LoL」のキャラクターたちが戦う対戦型格闘ゲームで、2キャラクターを操作する2vs2制度が取られている。今回の試遊では、ヤスオ/エコー/アーリ/ダリウス/イラオイの5キャラクターをプレイできた。格闘ゲーマーであり「LoL」を(一応)触ったことがある筆者が、スタッフの人と対戦しながら感じた本作の魅力をお伝えしていこうと思う。

■あまりにも合理的な操作システム。初心者の壁を取っ払いながら奥深さを実現

昨今の格闘ゲームは、「初心者でも遊びやすい」というのが一つの命題となっているように思う。そこで、たびたび話題に上がるのが「必殺技コマンドの撤廃」だ。

2XKOの基本操作はこちらの写真の通り。

従来の格闘ゲームは、移動と必殺技を区別するために、特定の順番で移動キーを入れることで必殺技を認識する“コマンド”制度を取ってきた。だが、このコマンドというのは習得難度が高く、実践で使いこなせるようになるには時間がかかる。そのため、近年の格闘ゲームではコマンド入力を必要としないシステムを取り入れた作品が多く、本作「2XKO」もその一つである。

コマンドが要らないなら簡単じゃん! と思いきや、上にあるPVやその他のプレイ映像を見た人の多くがこう思った事だろう。「なんか、すごく難しそう」と。

画面をギュンギュン動き回るキャラクター、やたらと長いコンボ。初見では、まさしく「絵にかいたような難しい格闘ゲーム」に見えたことだろう。

正直、筆者もプレイしてみるまでそう思っていた。しかし、プレイしてみるとその合理的な“簡単操作”に思わず舌を巻くこととなったのである。その訳を詳しく見ていこう。

最初に、やたらと長いコンボについてだが、実はものすごく簡単で、弱→中→強と順番にボタンを押すだけでコンボが成立する、所謂“コンボ系格闘ゲーム”のシステムが採用されている。これは、順番さえ一度覚えればあとはボタンを順番にポチポチするだけなので、実は見た目ほど難しくないのである。

弱→中→強→打ち上げ→弱→中→強、で基本的なコンボはOK。字で見ると実は複雑じゃないのがお分かりいただけるだろうか?

弱→中→強とつないだらそこから必殺技につないでいくのだが、「2XKO」では必殺技は「スキル1ボタン」と「スキル2ボタン」を押すだけで出るようになっている。そのため、弱→中→強→スキル1→スキル2とこれまた順番に押すだけでコンボになるのだ。「LoL」原作でもスキルを発動するにはキーボードのQ/W/Eそれぞれを押すだけだったので、感覚としてはそれに近い。

基本攻撃であるオートアタック→Qスキル→Eスキル……みたいなコンボの流れが、弱→中→強→必殺技ボタンに置き換わっただけだ。突き詰めれば呪文のごとく長いコンボもできるのだろうが、基本的な(弱→中→強)→打ち上げ→(弱→中→強)→必殺技2種だけでも十分なダメージが出ていたので、遊ぶために必要な知識のハードルは低い。

基本的にスキルボタン+移動キーの組み合わせなので、操作は非常にシンプル。

続いて、ギュンギュン動き回るキャラクターについてだが、こちらは「コンボの演出が派手」なだけであって、ゲームの展開スピードは、実はそこまで高速ではなかった。これは、正直筆者も意外だったポイントである。

本作以外にも攻撃ボタンを順番に押すタイプの格闘ゲームはあったが、どれも初心者にはオススメし辛い高難度な格闘ゲームであった。それは、「コンボスピードだけでなく、ゲームスピードも爆速」だったからである。ゲームスピードが速い=判断を高速で求められるという事なので、格闘ゲームを初めて触ったプレイヤーはついていけないことが大半だったのだ。

だが、本作は地上での技の差し合い=地上戦はいわゆる“ジリジリ感”のあるものとなっており、高速で突っ込んできた相手にメチャクチャにされることは(比較的)少ないのではないだろうか。ハイスピードな技にはそれなりの隙(出が遅い、技後の硬直が長いなどなど)が用意されており、リターンとともにきちんとリスクが与えられていたし、強力な連携をするには下準備が必要な事が多く、その辺りもちょっと「LoL」らしいなと感じたポイントである。

それでいて超必殺技のコマンドが「↓↓+スキルボタン」と、誰でも簡単に出せるがとっさに出せない最適化されたコマンドになっており、待ちのスタイルだけで勝利はつかめない。適度なスピード感とそれを簡単に実現する最適化された操作。ライアットゲームズの格闘ゲーム好きが本気で開発に取り組んだ軌跡を感じる素晴らしいプレイフィールだった。

■原作の“思考”部分の再現もバッチリ。位置取りの大切さは本家LoLに寄せた手触り

本記事のタイトルに“原作再現”という文言を書いたが、より詳しく言うなら「原作LoLの思考部分の再現が素晴らしい」という言い方になるだろう。

筆者はTOPレーンとMIDレーンをよく遊んでいるため、今回使用できた5キャラクターはいずれも馴染み深いキャラクターである。

本作「2XKO」では、彼らを相手にしているときの“思考の流れ”とでもいうべき部分が原作そのままで、例えばダリウスを相手にしているときは相手を引っ張る「捕縛(Eスキル)」の間合いにいないようにしよう、とか。イラオイの触手の感知範囲外で立ち回るようにしよう、とか。エコーの分身が後ろにいるからバックアタックに警戒、とか。

なんというか、画面内で見るべきポイントとそこから得られる情報が原作である「LoL」に近く、LoLプレイヤーの人はかなり面白く感じるのではないだろうか。

逆に、自分がイラオイを使っている時ならば、触手の感知範囲内なので追撃しよう、触手が少ないので触手の数を増やして下準備をしようといった戦略の立て方も原作に近い。

格闘ゲーマーなら“そういうキャラクター”として遊べるし、LoLプレイヤーなら“”原作そのままの使用感で遊べることだろう。この落とし込み方の完成度は想像以上だったので、非常に驚いた。

■初心者はもちろん格ゲーマーからLoLプレイヤーまで全員楽しめそう

ここまで本作「2XKO」をプレイした感想を簡単にお届けしたが、いかがだったろうか。

本作は「LoL」の操作をそのまま格闘ゲームに落とし込み、かつ格闘ゲームをシンプルに遊ぶための最適化が行われている。このバランスが素晴らしく、操作自体はシンプルだが戦略の幅は無限に広がる、まさに本家「LoL」のような懐の深さを感じた。

基本無料で配信予定とのことなので、格ゲーをやってみたい人もLoLプレイヤーも格ゲーマーも、一度は本作を触ってみてほしいところである。


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