「漫画村」運営者 頂き女子りりちゃんに接近「檻の中から稼ぎませんか?って次の手紙で書く予定」

■東京地方裁判所から17億3,664万2,277円の賠償命令

2018年4月に閉鎖されていた漫画の海賊版サイト「漫画村」の元運営者・星野路実氏(32)に対し、KADOKAWA、集英社、小学館の大手出版社3社が総額約19億3000万円の賠償を求めた訴訟の判決が東京地裁であった。4月18日、東京地裁は星野元受刑者に対し、合計約17億円の支払いを命じた。超巨額の賠償命令であり、ネット上では話題になったが、星野氏は「支払うつもりはない」と話しているという。

今回の裁判は、出版大手3社が作品を無断公開されたとして訴訟を起こしたもの。漫画村は2016年2月ごろに開設されて以来、漫画の海賊版サイトとして急成長。月間のアクセス数は、最大で1億回に迫る記録を出したこともあるといい、閉鎖されるまでの間に約5億3700万件のアクセスがあったといわれる。

当時、多くの人気漫画家が声明を発表し、「漫画村」を利用しないように訴えていた。しかし、若いネットユーザーは「漫画村」を公式のサイトと勘違いして閲覧するケースも多く、漫画家に対し「『漫画村』で先生の作品を読みました。いつも楽しみにしています」といった塩梅のファンレターが届くこともあったという。

総額約19億3000万円の賠償の根拠は、「漫画村」の17年6月~18年4月のアクセス数と、「ONE PIECE」など合計17作品のコミックスの販売価格によって算出されたもので、今回、ほぼ出版社側の訴えが認められる形となった。なお、星野氏は、著作権法違反などで2021年に懲役3年の実刑判決が言い渡されている。

■“頂き女子りりちゃん”に接近中

星野氏は現在も、Xに「星野ロミ 漫画村を作って捕まった人」のアカウントを開設し、様々な発言を行っている。4月22日にはXを更新し、“頂き女子りりちゃん”こと渡辺真衣氏(25)に名古屋地裁が懲役9年、罰金800万円の判決を言い渡した件について触れ、「頂き女子りりちゃん1.5億円詐欺で懲役9年、罰金800万円の判決」「漫画村運営ならたった3年で済んだしもっと稼げたからコスパ良すぎ」などと語っている。

ちなみに、星野氏は“頂き女子りりちゃん”に関心があるようで、4月12日はXに名古屋拘置所を訪れた様子をポスト。「今日も朝イチで頂き女子りりちゃんの面会に来ましたが面会は1日1組までで」「すでにおじが4人並んでて会えませんでした」「俺が拘置された時は誰も来なかったので人気ぶりに嫉妬する!」などと言及している。2023年年8月24日のXでのポストでは、「愛感情利用して男性から金をだまし取る頂き女子のマニュアルが面白い」とし以前から興味を持っていたことがわかる。

面会できなかった翌日には「頂き女子のりりちゃんから手紙の返信があった」と明かし、その文面の中で、幻冬舎の編集者・箕輪厚介が手掛けた書籍『怪獣人間の手懐け方』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス)/刊)を通じ、自身の存在が認知されていたことが判明。「文通して分かったけどりりちゃんは人を魅力する能力がある」と語っている。

頂き女子りりちゃんは、X(旧Twitter)のアカウントで『りりちゃんはごくちゅうです』にて、獄中日記が公開されていて、その度にSNS上では話題となっている。4月25日のポストでは「私、涙、出る。私、こわい. 自分で自分の手を握りしめてあげる。大丈夫。助けてください。何も知らないくせい、私のこと何も知らないくせに。助けられてたまるか。もういや」(原文ママ)といった思いを吐露していて、現在の不安を表現するなか、「文章うまい」などの評価をポストするユーザーもいる。

4月26日には、りりちゃんの支援者が、被害者男性とのやりとりをXで公開。「騙される方が悪い」といった意見から「これ晒すのはだめでしょ」といったものままで波紋が広がっている状況だ。そんなりりちゃんと星野氏という、今世間を騒がす二人の接近には何があるのだろうか。星野氏は、「Twitter始めてだけど皆りりちゃんのツイート見たいよね?」(原文ママ)とポストをしており、出版か何かを画策しているとも見て取れる内容とも推測できる。

■海賊版サイトは未だに存在する

さて、「漫画村」は閉鎖となったものの、未だに漫画の違法アップロードサイトや海賊版サイトはネット上に存在し、いたちごっこが続く。結局のところ、こうしたサイトはアクセス数によって生じる広告収入に依存しており、消費者がこうしたサイトを閲覧しないようにすることが重要である。出版社の編集者はこう話す。

「ネットの普及によって、漫画だけでなく、動画や、ニュースなども無料で閲覧できるものが増えました。特に若年層は、お金を払ってコンテンツを楽しむという文化を体験していない人も多いと思われます。海賊版サイトはそういった層をターゲットにしています。コンテンツにお金を払うのが当たり前という規則を、しっかりと伝えていく必要があるのではないでしょうか」

数々の日本を支えた産業が中国におされて斜陽化する中で、漫画は数少ない海外に対抗できる日本発の文化であり、コンテンツビジネスを牽引する存在と言える。そんななかで、海賊版サイトの存在は、コンテンツビジネスにとって最大の脅威となっているのは間違いない。迅速な取り締まりを望みたいが、こうしたサイトを利用しないようにするという、消費者の意識改革こそが重要といえるだろう。

(文=元城健)

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