大阪の困窮者を支援、医師の矢島さん死去から15年 故郷の群馬・高崎市でしのぶ会

讃美歌を演奏する兄の敏さん

 2009年に大阪市で遺体で発見された群馬県高崎市出身の医師、矢島祥子(やじま・さちこ)さん(享年34)をしのぶ集会「第2回 さっちゃん、おかえりなさい」が27日、同市総合福祉センターで開かれた。約100人が来場し、どんな人にも分け隔てなく接した矢島さんの生涯に心を寄せた。

 矢島さんは日雇い労働者の町として知られ、「釜ケ崎」と呼ばれる大阪市西成区で医療支援に当たった。一般の人も路上生活者も生活困窮者も同じように献身的に支援し、同区の人々から「さっちゃん」と呼ばれて慕われていた。09年11月に行方が分からなくなり、その後に同区の川で遺体で発見された。

 集会は冒頭、事件の渦中にあった人々の心情などを伝えるNHK番組「事件の涙」で、矢島さんが取り上げられた回を放映した。来場者が事件の状況や発生後の家族らの取り組み、その時に何を思ったかについて理解を深めた。兄の敏(びん)さん(53)のギター演奏に合わせ、会場全体で賛美歌も歌った。

 パネルディスカッションで敏さんは「(祥子さんにとって)釜ケ崎の地はキラキラして見えていたのではないか」と述べた。母の晶子(あきこ)さん(79)は祥子さんとの思い出を振り返り、「悲しいこともうれしいことも、現地の人と分かち合いながら歩んだのだと思う」と強調した。

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