あなたのその夢にはどんな意味がある?「寝る前にこれをするといい夢が見られる」社会心理学科教授が教えます!

引用元:Choreograph/gettyimages

みなさん、自分の見た夢を覚えていますか。覚えている夢の中には、「なんで、こんな夢を見たのだろう…」と思うような奇想天外なものや不思議なものもありますよね。
そこで、「たまひよ」アプリユーザーが見た夢についてアンケート調査。東洋大学社会学部社会心理学科教授の松田英子さんに夢の持つ意味や役割について聞きました。

仕事や家事に忙殺されていたワ―ママが無駄を省いて、自分時間を2時間増やした37の方法

未来予知のような夢から奇想天外な夢まで…

最初にみんなから聞いた夢エピソードをご紹介します。

「空を泳げる夢は、頻繁によく見る。何かの前触れなのかな…?」(Luka)

「大好きなバンドマンと結婚していた!(笑)」(かおり)

「めちゃくちゃ人助けをしてヒーローになり、この世界を牛耳って理想の社会をつくる夢を見た。見るだけはタダ!」(ついとん)

「友だちが妊娠している夢を見たので連絡してみたら、体外受精にチャレンジ中で、その直後、実際に妊娠。私も友だちも驚いた出来事です」(ぴにゃママ)

「とある漁村に旅行で訪れていて、サイレンがなったら避難の合図と言われ軒下に隠れた。そのすぐ後に魚が空から大量に降ってきて、村の人たちが一斉にそれを集めているのを眺めていた。不思議な夢だった…」(ミク)

「なぜか夫と高層マンションの最上階に住んでいて喧嘩中。その時に地震が起き、マンションが崩れはじめて落ちてしまう状況に。これは助からないと思って『喧嘩してる場合じゃない!感謝の気持ちを伝えないでこのまま死ぬなんて!』と、必死で感謝の気持ちを叫びました。
起きてからも心臓がバクバク。その日の朝、『いつもありがとうね! 伝えられる時に伝えんとね』と言うと、『急に怖い。死ぬ前みたい〜』と笑われました」(きのこ)

「妊娠初期に胎児ネームを考えていたら、パッと頭に浮かんだのが『とろ』。それからは、夫も私も『とろちゃ~ん』と呼びかけていました。
暫くして、2〜3歳くらいの女の子に『私はとろじゃな~い!』と言われる夢を見た。後におなかの子の性別は女の子と判明。今でも、とろちゃんって呼んでるけど嫌なのかなぁ(笑)」(さこまる)

「生後1ヶ月の息子をお風呂に入れると、徐々にしぼんでしまい、手のひらサイズに。びっくりして真裸で飛び出して親に相談していたら、風船のように空気が入って、どんどん膨らんで元の姿に戻ったところで目が覚めました」(Tabi)

「出産前に体重3000g、身長50cmの娘を産む夢を見た。実際に産まれた娘も体重3000g、身長50cmだった!」(おかえ)

「壁、床一面にカップヌードルが貼り付いていて『たくさん食べられる!』と小躍りした夢」(あんこ)

記憶ライブラリーから引っ張り出される夢は私たちの人生そのもの

面白い夢の話が寄せられましたね。そもそも人はなぜ、夢を見るのでしょうか。夢が持つ意味や良い夢を見る方法などについて、臨床心理学が専門の東洋大学社会学部社会心理学科教授である松田英子さんに聞きました。

「私たちの毎晩の睡眠の約20%は、夢見る時間帯で構成されています。
夢は何のために見るのか…。
明確にはわかっていませんが、少なくとも睡眠中には記憶を整理していて、その整理された記憶の断片が夢に現れることが分かっています。

皆さんの夢にはどんな記憶が出てきますか?
思いもよらぬ人が夢に出てくると驚きますよね。夢の中に出てくる人物や物や状況は、私たちの脳の中の記憶のライブラリー貯蔵庫にある、この世に生を受けてからこれまでに直接的体験したことや、間接的に見聞きした体験から引っ張り出されたものです。
夢とは私たちの人生そのものなのです。

日中にあった出来事や寝る直前にふれた情報、心配事、関心のある事(あこがれや欲求)などは、夢の内容に影響を与えるトリガーになります。
脳の中の貯蔵庫から、トリガーに関連する素材や類似する素材が引っ張り出されて、連想され、まとめあげられた一連の情報(多くの場合は映像)が、翌朝思い出される夢の内容になるのです。

例えば、大好きなアーティストと親密な関係になる、美味しいものを食べる、あり得ないとビックリしたニュースの情報が取り込まれる(世界各地で観測されている自然現象ファフロッキーズ※など)、妊娠中・子育て中であれば、まさに子どもを授かる夢、子育ての夢は頻出テーマでしょう。

また普通の夢はすぐに忘れ去ってしまいますが、小さいお子さんを子育て中には、断眠や中途覚醒がつきもので、そんな時は夢を覚えていることが多くなります。

現実にはできないけれど、空を飛ぶ夢は古今東西頻出の楽しい夢の代表例。
その姿も、平泳ぎ、大きなジャンプ、自転車のように足で漕ぐなど個人差が大きく、バリエーションがあって面白いです。

記憶を整理する夢の中で、これから起こりうることへの対処のシミュレーションをしているという仮説もあります。
気になることは夢に出てきやすいので、子どもの成長に関することへの心配、不妊治療が成功するかどうか、また地震、火事、洪水などの自然災害も夢に出てきやすいテーマです。

人間とは集団の中で生きる生き物なので、ピンチの時に人と協力する、信頼を失わないよう約束を守るために必死に努力するといったことなどもよくある夢のテーマとなります。

ちなみに、入眠直前のインプットは夢に影響を与える可能性があります。『好きな人の写真を枕の下に置いて眠るとその人の夢が見られる』というジンクスがありますが、あながち間違いとも言い切れないのです。そのため、眠る前に好きなことやポジティブなことを考えて眠れば、いい夢を見る確率は上がるかもしれません」(松田英子さん)
※ファフロッキーズとは、空から降るはずのないものが降ってくる不可解な現象。

人助けをしてヒーローになるという夢も、集団の中で生きる人が見る夢として意味のあるものなのですね。寝る前は心配事や悩み事は考えないようにして、ポジティブな思考で眠りにつきたいと思いました。
(取材・文/メディア・ビュー 橋本真理子)

松田英子さん

PROFILE)
東洋大学社会学部社会心理学科教授。公認心理師・臨床心理士。専門は臨床心理学、パーソナリティ心理学、健康心理学。著書に『夢と睡眠の心理学』(風間書房)、『夢を読み解く心理学』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『はじめての明晰夢 夢をデザインする心理学』(朝日出版社)など多数。関心分野は、睡眠の改善から心の健康を高めること。小学生から90代まで1万人以上の夢を収集・分析しており、夢の専門家としてメディアにも多数出演している。

※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※記事の内容は2024年2月の情報であり、現在と異なる場合があります。

© 株式会社ベネッセコーポレーション