勝利が遠い川崎。鬼木達監督は降格圏と勝点1差の16位という現状をどう見るのか?

[J1第10節]広島 2-2 川崎/4月28日/エディオンピースウイング広島

J1の10節で広島と対戦した川崎は、前半に先制を許すも、小林悠のJ1通算得点で三浦知良を超える140得点目や、山田新のゴールで一時は逆転。しかし、直後に追い付かれ勝点1を得るにとどまった。

前節、12年ぶりの4試合連続無得点と悔しさを味わっていた川崎は、その嫌な流れは断ち切ったものの、5試合未勝利。10試合を終えて2勝3分5敗の16位で、降格圏とは勝点1差のままと、苦しい時間が続く。

そのなかで、鬼木達監督は、この広島戦に向けてチームの士気を高めたという。特に後半には選手たちがよく戦う姿もピッチで表われていた。

「このゲームは自分たちにとって大きなゲームだと話をして送り出しました。と言うのも、これは経験なのか、勘なのか分かりませんが、今日のゲームはチャンスだと思っていました。今日のゲームでしっかりチャンスを掴まなくてはいけない、それは全身全霊で戦って勝点3を取ることによって自分たちが目指している、てっぺんに辿り着くためのキッカケにするゲームにしたいという想いと、そういう風にできるんじゃないかとこれまでの彼らの取り組みを見て、そういう話をしました。

なので勝点3まで辿り着かなかったですが、それでも次につながる闘志の部分だとか、目に見えない部分、数字で表われない部分が重要になってくると思いますので、そこで引き続き勝負していきたいです」

【動画】小林のJ1通算140得点のゴールシーン
今季はチーム数が20に増え、試合数も38節に増加。もっとも下位3チームが降格するなかで、10試合を終えて16位という数字はやはり気になるところだ。

もっとも指揮官は現状について訊くと、常に口にしてきた、やり続けることの重要性を改めて話してくれた。

「順位は誰もが気になるところだと思いますが、ひとつの勝点3でいろんなものが変わってくるところだと思いますので、自分のなかでは勝っていても、負けていてもトレーニングに対してやることは変わらないですし、次の試合に勝つために最善の準備をするというのは、チームとしても、自分としても、選手としても、クラブとしても、やり続けていくことが大事だと思います。

自分の監督1年目(初のリーグ王者になった2017年)の時も決して簡単な時期、簡単にチャンピオンになったわけではないですし、今、怪我人などを含めていろんな意味で我慢する時は我慢しなくてはいけないと思います。そこはやり続けることです。また毎日見ているなか、本当に選手は成長していますので、そこは自信を持って送り出せていますし、選手もこういう新しいスタジアムでの今日くらいに楽しんでくれればと思います」

鬼木監督の変わらない選手を信じる想い、そして、観ている人たちに楽しんでもらう、感動してもらう戦い方を目指す意志が象徴されたような言葉であった。

この姿勢がここからの巻き返しにつながるのか注目だ。

取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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