推しが"兵役"に...K-POPファンに《待ち活》のリアルを聞く。1年半は「意外とあっという間」?

男性K-POPアイドルを応援していると、避けて通れないのが「兵役」です。韓国では、全ての男性を対象に徴兵制度があり、特例を除いて、有名人も満28歳までに兵役へ行きます。約1年半の間の別れに、どのファンも寂しい思いを抱えながら送り出します。

世界的人気のBTSは、現在、メンバー全員が軍務(シュガさんのみ社会服務)に就いています。2024年4月15日には、人気グループNCTのリーダー・テヨンさんが入営したばかり。推しにもいつその日が来るのか......と不安に感じているファンも多いのではないでしょうか。

そんな時に心強い味方になってくれるのが、3月21日に発売された『待ち活33』(徳間書店)。自身もK-POPファンだというライターの間木まきさんが、推しの除隊を待つ間にできる「待ち活」のアイデア33項目をまとめた本です。推しをもつ人に話を聞く連載「好きってなんなん?」第6回では、間木さんに、推しを待つ日々と思いをうかがいました。

行く直前が一番つらいけど

間木さん自身も、現在推しが兵役に行っていて、絶賛待ち活中。本書をたくさんのファンの方に自分の推しと重ね合わせてもらえるよう、推しは公表していないそうです。

最初に韓国のアーティストを好きになったのは2005年頃とのことですが、熱心に追っている時に推しが兵役へ行ってしまう経験は、今の推しが初めて。行く直前が一番つらかったといいます。

兵役に行く直前は、「これからどうなっちゃうのかな」という不安がありました。これまで推しが兵役に行ってしまった経験のある先輩に「どう過ごした?」と聞きまくりました。なかにはたくさん経験している方もいるじゃないですか。もう何人も推しを送り出した人は、「一番最初がつらいよね」となぐさめてくれましたね。最初の子どもを遠くに留学させるような気持ちだよねって。でも、「最初の子を送り出すと次はけっこう慣れるもんなのよね~」と(笑)。

それに、意外とやることがたくさんあって、「送り出してしまったあとはけっこうあっという間だよ」と言っていました。私自身、今それを実感しています。まだ見ていない過去のコンテンツもたくさんありますし、他のグループを見てみたり、韓国ドラマを見たり、日常生活にも追われますし。きっとあっという間ですね。

待ち活をしながら楽しく過ごしつつも、心のどこかには、早くリアルタイムの推しを見たいという寂しさもあると話す間木さん。でも、兵役の期間は全く姿を見られないわけではなく、たまにSNSに言葉や写真を投稿してくれるそうです。

その人やそのグループ、事務所によるのかもしれませんが、ちょこちょこ投稿はしてくれます。兵役中は、配属先などの各規定に準じてスマホを使えるそうです。私の推しは1~2ヶ月に1回くらいはSNSに来てくれますね。

今では待つことも楽しめるようになったそう。そう思えるようになったのは、一緒に推し活をする友達のおかげだといいます。

友達と韓国料理を食べたり、集まってライブを見たり、韓国語やダンスを習ったりと待ち活をしているうちに、そんなにシクシクしなくなりました。「いずれ戻ってくるんだから」と前向きになれるようになりましたね。

でも、友達がいなかったら、ちょっと心細いかもしれないです。一人で推すこともきっとできますけど、友達の存在は大きいですね。コロナ後に、一気に友達の輪が広がりました。

間木さんの友達は「みんな情熱的」だそう。本書にも推しの兵役中に、推しに似た仏像を彫ったり、滝に打たれてみたりと、驚きの待ち活をしている友達が登場します。兵役中ではありませんが、いきなり韓国に留学して間木さんをびっくりさせた人もいたそう。刺激的な友達の輪は、楽しい推し活・待ち活のカギかもしれません。

「好き」の気持ちは変わらない

推しが兵役に行っている間、熱が冷めることはない? と聞くと、「好きの気持ちはずっと変わらない」と返事が。友達に誘われて他のグループのライブに行ってみることもありつつ、推しは変わらずずっと一番だといいます。

兵役前、推し活をしていない友達には「そのうち忘れるよ」「すぐ次の推しができるよ」と言われていたんですが、そんなことなかったですね。これは私の性格かもしれません。

推しに限らず恋愛でもそうですけど、友達から「諦めなよ」と言われて、他の人を好きになろうと思えば思うほど、この人じゃないといや! というふうになっていくじゃないですか。他の人も見てみようかなと思うこともあるんですけど、結局は今の推しに戻ってきますね。

間木さんは韓国にも推し活の友達がいますが、韓国のファンは、男性は兵役に就くということをわかっているせいか、「待つの!? 次行こうよ」というスタンスの人も少なくはないそう。待ち活は人それぞれのようです。

韓国の方との交流では、こんなエピソードも。

韓国料理屋さんで、友達と兵役について話していたんですが、小さなお店だったので、韓国人の店長さんがそれを聞いてやってきたんです。なぜ全員が兵役に行かなければいけないのかを、10分くらいとうとうと語ってくれました。とても真剣で、大事な問題なんだなと改めて実感しましたね。

兵役について、外国人はなかなか口を開きづらいのが事実です。だからこそ間木さんは、『待ち活33』で「韓国の兵役について勉強する」項目は必要だったと語ります。そのページでは、兵役の基礎知識や、軍のリアルな生活が描かれているドラマなどが紹介されています。兵役中、推しがどんな日々を送っているのかを知ると、視野が広がるかもしれません。

一番大事な「待ち活」とは

そんな間木さんにとっての推し、そして「好き」とは......?

韓国のカルチャーを好きになって約20年経つものの、今の推しに出会うまではグループのアイドルを好きになったことがなく、グッズを買うこともなかったという間木さん。ある時、偶然今の推しグループをYouTubeで見て、「釘づけになった」といいます。

どこが好きかと言われたらわからないんですけど、気づいたら目で追っていて、「この人しかいない」と思ったんです。好きになるって理屈じゃないですよね。

家族との日常を過ごす中で、推しは「自分の中にまだ『好き』という気持ちがあったんだと思い出させてくれる存在」なのだそう。

この先、中2病のような、見ているだけでドキドキする恋愛なんてもうないと感じていたのですが、推しを見ていると、こんなに「好き」という感情だけでいられることがまだあるんだなと思えます。

愛犬もひたすらかわいいのですが、でも、粗相したり、ソファを壊してやんちゃしたりして、どんなに好きでも、疲れて帰宅した時なんか、あと片付けにガッカリすることがあるじゃないですか。それが推しにはないですもんね。いたずらしても、アホみたいな行動をとっても、とにかく何をやっても「もう、可愛いんだから」と思っちゃいます。

忙しい日常を少し休憩して、特別なときめきをくれる推しの存在。日々に必要だからこそ、兵役に行ってリアルタイムの姿をなかなか見られなくなっても、その思いは変わらないのかもしれません。

最後に、『待ち活33』の中から、これから推しが兵役に行く人に一番やってほしい待ち活を聞きました。その答えは、「推しが兵役に行く前に、深い愛の意思表示をしておく」こと。兵役中にすることではないので、「番外編」として収録されています。

ライブなどで直接お別れができるのが一番いいと思います。心残りも消えるんじゃないでしょうか。きっと、自宅に帰ってから泣きはするんでしょうけどね。もちろんコンサートをやらない、あるいは行けなくて会えないこともあるので、そんな時は心の中でいってらっしゃいと見送る、思いの丈をSNSでもノートでもいいので書き殴る。あとは、気が済むまで泣く(笑)。推しを送り出した先輩が、「送り出すのはひとつの区切りとして大事よ」と言っていました。私もそう思います。

まだ推しが兵役に行っていない人には、ぜひ覚えていてほしい言葉です。いつその日が来ても、後悔なく、楽しく待つ準備をしたいですね。

(東京バーゲンマニア編集部)

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