27歳貯金1100万円。4000万円の物件を買っても大丈夫でしょうか?

住宅ローンを4000万円借りても大丈夫かどうか心配な27歳の会社員の女性。お子さんも2人希望されているとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。​​​​​​​

心配性で先が見えないと行動できない性格です

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。 今回のご相談者は、住宅ローンを借りても大丈夫かどうか心配な27歳の会社員の女性です。お子さんも2人希望されているとのこと。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

NAPPAさん 女性/会社員/27歳 愛知県/借家

家族構成

夫(会社員/30歳)

相談内容

1年以内に家(注文住宅・土地も分譲地を購入予定)を建てようと計画しています。結婚して2年半が経ち、家を建てようとなりました。住宅の総額が4000万円ほどになりそうなのですが、そんなに借りて大丈夫か不安です。借り入れはどの程度にするべきか気になり、ご応募させていただきました。 主人の実家から500万円の援助はある予定です。頭金はどのくらい入れるべきかも悩んでいます。ハウスメーカーの人には全額借り入れをし、住宅ローン減税が終わってから繰り上げ返済する方がいいと言われました。 借り入れは主人単独か、私と主人の連帯債務にしようか迷っています。連帯債務だと控除が使えますが、主人に何かあった際のリスクが高い気がしています。私に何かあった際も主人の生活が厳しい気もしています。不安です。 今後、子どもも欲しいと思っています(希望2人)。 2人とも正社員で働いており、月々の貯金額は多少変動しますが、年間で250万円を貯められるようにしています。今後も大きなこととがない限り、正社員で働いていければと思っています。 毎週週末は外食しており、2人暮らしにしては食費が高いことも自覚していますが、今のところ貯金ができているのであまり気にしていません。住宅ローンが始まれば減らさなければと思っています。小遣いの割合が高いですが美容費、友人との交際費、洋服代、娯楽代なども小遣いから支払っているので、減額は厳しいです。 現金貯金が1000万円超えたこともあり、現在、私名義でNISAをしています。来年から2人で月4万円ずつ(計8万円)にして運用割合を増やそうとも考えていますが、住宅ローンのことなども考えると不安です。しかし物価高なども考えて、このまま現金で置いとくのも不安です。 心配性で先が見えないと行動できない性格です。ご教示いただけると幸いです。よろしくお願いいたします。

家計収支データ

NAPPAさんの家計収支データは図表のとおりです。

相談者「NAPPA」さんの家計収支データ

家計収支データ補足

(1)ボーナスの使い道 ・車の維持費(税金、保険)20万円 ・保険の年払い10万円 ・家電などの大きな買い物や車検、予備費として14万円 ・旅行・レジャー費10万円 ・小遣い10万円 ・友人の結婚祝い6万円 ・貯蓄70万円 (2)貯蓄と投資について 毎月の貯蓄は、普通預金11万2000円、NISA3万3000円、iDeCo5000円(いずれも相談者名義)。iDeCoは、私の前職の退職金の一部が企業型の確定拠出年金となっていました。退職した際に60歳まで、出金できないことがわかり、口座管理の手数料がかかってしまうので、月5000円、個人で続けています。 (3)家計収支について 毎月の収支はプラスマイナスゼロのイメージです。ボーナスからの補てんはありません。 (4)自動車について 所有台数は普通車2台。車両費はガソリン代の1万8000円。 私の車は、現在5年乗っています。乗れる限り乗る予定です。次は軽自動車にするつもりです。 ・買い換え時期/10年後 ・予算/150万円 夫の車は、現在9年乗っています。この前、大きく擦ってしまい、修理代が100万円になり、車検も近いので、買い替えることになりました。5カ月後に新車購入の支払いがあります。保険や今の車の売却代を、加味して180万円くらい出費の予定です。買い替えた車は、10年くらいは乗ることを約束しています。夫は300万~400万円の車を乗り続けたいと希望しています。 (5)加入保険について 夫/ ・医療保険(入院1万円、他に手術一時金)=毎月の保険料3000円 ・個人年金保険(3年経てば解約しても元本保証、その他詳細不明)=年払い保険料10万円 ※夫の保険はどちらも会社で働いている人と家族向けのものです。 相談者/ ・医療保険(ケガ・病気入院5000円、手術一時金あり、ケガ通院1500円)=毎月の保険料3000円 ※この保険は事情があり、やめるのが難しいです。 ・医療保険(入院5000円、他に手術一時金など)=毎月の保険料1000円 ※夫の会社の保険です。配偶者特約で加入しているので金額が安いです。解約してもいいのですが、先月入院した際も利用したので、子どもの計画が終わってからの解約でもいいのかなと悩んでいます。 (6)子どもについて 現在妊娠中で、夏に出産予定です。2人目は2~4年後を希望しています。育児休業を利用し、職場復帰する予定です。 (7)住まいの希望 住宅の総額が4000万円で、主人の実家からの援助が500万円なので、3500万円の住宅ローンで検討中です。建築を1年以内としたのは、希望に合致する土地がみつかったのと、夫の定年である65歳で完済になるからです。

FP深野康彦の3つのアドバイス

アドバイス1:頭金は物件価格の2割。無理のない毎月返済額にすること アドバイス2:年間190万円の貯蓄をキープできれば問題なし アドバイス3:ローン返済中のリスクを考え、投資割合は増やしすぎないように

アドバイス1:頭金は物件価格の2割。無理のない毎月返済額にすること

住宅ローンを借りる前にご相談を寄せていただき、よかったです。4000万円の予算に対して、親からの資金援助の500万円を頭金にするとのことですが、頭金を物件価格の2割程度にすると、毎月返済額が少なくなり、家計管理がしやすくなります。そこで、ご本人たちも預貯金がありますので、頭金として300万円、諸費用を物件価格の2%として200万円を自己負担。頭金の合計800万円、住宅ローン3200万円で試算していきましょう。 全期間固定金利で2.3%とし、返済期間35年だと、毎月の返済額は約11万1000円です。現在の家賃が6万8000円ですから、住居費は4万3000円増えます。毎月15万円の貯蓄ができていますが、マイホーム取得後は毎月10万円の貯蓄となります。 ボーナスからの貯蓄は70万円で変わらないとすると、年間で190万円の貯蓄ができます。夫が定年退職する65歳までの35年間で6650万円貯めることができます。

アドバイス2:年間190万円の貯蓄をキープできれば問題なし

頭金と諸費用を差し引いた残りの金融資産は600万円。車の買い換えで180万円の出費もありますので、今ある金融資産は420万円に減ってしまいます。しかし、年間190万円を継続して貯蓄できれば問題ありません。 ただ、今後、ご相談者が出産・育児で産休をとられている間、4年ほどは貯蓄ができないと考えてください。4年分の760万円を差し引くと、都合6310万円。大きな問題がなければ、夫65歳までに貯められる金融資産のすべてということになります。 ここから子どもの教育費を考えてみましょう。まだ出産前ですので、子どもの将来の進路はわかりませんが、平均的な教育費としては、子ども1人につき1500万円、2人で3000万円を見込んでおきます。これは問題なく用意できるでしょう。 教育費以外での大きな出費は車の買い換えです。年齢から考えると、あと3回ぐらいは買い換えが必要になるでしょう。2台で500万円として、1500万円が必要になります。 教育費と車の買い換えで4500万円を差し引くと、残りの金融資産は1810万円です。65歳以降は公的年金の受給が始まりますが、そのときには住宅ローンは完済していますので、生活費はかなり減らせているはずです。夫婦2人とも正社員のままであれば、退職金が見込めます。公的年金で生活費をまかなえるはずです。

アドバイス3:ローン返済中のリスクを考え、投資割合は増やしすぎないように

計算上は、マイホーム取得、子どもの教育費、夫婦の老後は心配ありません。だた、この先、子どもが生まれれば、家計支出は膨らんでいきます。食費や小遣いなどで調整し、上限を決めて管理するようにしてください。 また、住宅ローンの借り方については、夫の単独名義でいいでしょう。妻が働けなくなったり、収入が減ったりしてしまう可能性もゼロではありません。 保険については、子どもが生まれたら夫婦それぞれ、1000万円の保障を子どもが成人するまでの20年の保険期間で加入してください。2人目が生まれたら、500万円追加で加入してください。 また、積立投資ですが、iDeCoは現状のままでOKです。NISAの積立については増額はせず、その分を預貯金で貯めていくようにしましょう。住宅購入の頭金などで一時的に預貯金が減ってしまいます。安心できる金額になるまでは、積立投資のウエートを下げて、預貯金で貯めることを優先してください。 くれぐれも健康に留意し、まずは無事の出産を願っています。出産後のマイホーム取得になるとは思いますが、住宅建築は気苦労も多いので、無理のないようにしてください。

相談者「NAPPA」さんから寄せられた感想

このままで大丈夫か不安でしたが、安心できました。楽しみながら、住宅購入を進めていけます。保険や投資等も教えていただいた通りにしていきたいと思います。ありがとうございました。 教えてくれたのは……深野 康彦さん マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金周り全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。 取材・文/伊藤加奈子 (文:あるじゃん 編集部)

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