ソフトバンクの勝利呼んだ東浜巨の好投 川村友斗には「何かやってくれる感」がある

力投する先発の東浜(撮影・西田忠信)

◆ソフトバンク3×―2西武(28日、みずほペイペイドーム)

2試合続けて1点差の試合を制したのは大きい。終盤は西武に押されていたが、苦しい中で投手陣が走者を返させない粘りを見せた。打てなくも勝てているのは強み。選手一人一人が自分の仕事をしっかりやっている。僅差の試合に勝てば、選手たちの士気は上がる。サヨナラ捕逸という思いがけない結末になったが、こういうことも起こりうるという戒めにしてほしい。

先発の東浜が試合をつくった。前回登板の19日のオリックス戦では4回で84球を要して6安打2本塁打、4失点で降板。それが今回は制球も球速も良くなっていた。しっかり立て直し、1試合で元に戻してきた。立ち上がりから良く、3回先頭の外崎の二塁打をきっかけに追い付かれても、そこから崩れなかった。先頭打者の出塁を許したのも、四球を与えたのも1度だけ。7回104球を投げきった。本人も自信になったのではないか。前回のような投球を2回続けてできないという意地を見せてもらった。悔しさは払拭できたはず。白星は付かなくても勝ち投手にふさわしい内容だった。

延長12回2死一、二塁で柳田につなぐ右前打を放った川村も光った。周東が欠場した間の穴をしっかり埋めた。調子が悪くてスタメンから外れたわけではない。そして途中出場で死球に安打と仕事ができたのはすごい。12回の安打には積極性を感じさせた。あの一打がなければサヨナラの場面はなかった。

延長11回には死球で出塁後、柳田の左飛でタッチアップから二塁を陥れた。左中間の深い当たりで、しっかり野手の動きを見て反応した。得点にはつながらなかったが、二塁に進めば、相手に与えるプレッシャーは全く違う。あのプレーができるのは本当にいいことだ。今の川村には「何かやってくれる感」がある。

甲斐の本塁打も芸術的だった。うまく反応した打ち方。普段から一生懸命やってきたことが身を結んだ一発。これをきっかけに打撃の状態を上げてほしい。(西日本スポーツ評論家)

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