【バイタルエリアの仕事人】vol.39 大橋祐紀|27歳のストライカーはなぜ新天地を求めたのか。新スタジアムでの第1号弾には感慨「大きな意味がある」

攻守の重要局面となる「バイタルエリア」で輝く選手たちのサッカー観に迫る連載インタビューシリーズ「バイタルエリアの仕事人」。第39回は、サンフレッチェ広島のFW大橋祐紀だ。

ジェフユナイテッド千葉のアカデミー出身で、八千代高校を経て中央大学に進学。大学在学中の2018年に湘南ベルマーレの特別指定選手となり、同年にプロデビュー。昨季は自身初のシーズン二桁得点を達成して、J1で13ゴールを奪った。

そして今季、サンフレッチェ広島に移籍。27歳のストライカーはなぜ新天地を求めたのか。

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自分自身、より成長したい、チャレンジしたいと思い、サンフレッチェ広島への移籍を決めました。お世話になっている湘南ベルマーレの方たちともいろいろと話し合い、もちろん迷いはありましたが、強い意志を持って決断しました。

背番号の77番を選んだ理由については、いろんなところで訊かれるのですが、若い数字が全部埋まっていて、30番以降の空いている番号の中から選びました。フォワードなら9番や11番を思い浮かべますが、ベルマーレでは17番をつけていましたし、7が入っていればいいかなと思って決めました。特別に何か7へのこだわりがあるというわけではないですが(笑)。

広島は全員攻撃、全員守備ですごくアグレッシブなスタイルです。魅力的なサッカーを展開しているチームだなという印象が加入する前からありました。雰囲気はとても良くて、トレーニングでも集中してやるところと、リラックスするところのメリハリがはっきりしています。一人ひとりが意識高く取り組めていると思います。

加入当初は、環境が変わるので、まずはチームに適応することを一番に考えていました。サッカーをプレーするうえで、基本的なベースの部分は同じなので、チームが変わってもこれまでと何かを大きく変えたというのは特にありません。ベルマーレでこれまでやってきたことを出そうといった感じです。

自分のプレーをしっかりと出すことと、チームメイトたちとコミュニケーションを取るところは、どんなチームや環境であっても必要なので、そこはチームメイトたちに助けてもらいながらではありますが、上手くできているのかなと思っています。同じく新加入の新井直人もそうですし、同い年の選手たちとは仲も良いです。いろんなことを聞いたりして助けてもらっています。

また、(ミヒャエル・)スキッベ監督は、選手たちのモチベーションをすごく高めてくれる方ですし、とても熱い監督です。個人的に何かを指示されたり、要求されるというよりは、チーム全体に前からアグレッシブに戦うという姿勢を示してくれています。

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大橋は新加入ながらすぐさま定位置を掴み、ここまでリーグ戦10試合で7ゴールと絶好調。エディオンピースウイング広島で行なわれた今シーズンのJ1開幕戦・浦和レッズ戦(2-0)では、いきなり2ゴールを奪った。新スタジアムの公式戦第1号ゴールとなったメモリアル弾は、とても感慨深かったようだ。

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新スタジアムであるエディオンピースウイング広島で行なわれた初の公式戦で、最初のゴールを決められたというのは、大きな意味があると思っています。

J1開幕戦を迎えるにあたって、広島ではテレビなどで新スタジアムの特集がたくさん報道されていましたし、広島に加入する際にも、強化部の方からこれまでのクラブの歴史を話してもらっていました。

新スタジアムの建設は長期間に渡るプロジェクトだったと思いますし、ピッチに立つ者の責任として、浦和戦ではその意義を考えながらプレーしました。ファーストゴールはみんなが狙っていたと思います。結果的に自分が取りましたが、広島の選手が決めたというのが何よりも良かったです。まだまだ始まったばかりですが、これからもホームスタジアムでどんどんゴールを重ねていきたいです。

広島は全体的に前へ前へという戦い方で、技術が高い選手が多いですし、必然的にシュートチャンスは多くなります。そのなかで自分はフォワードとしてゴール決めるという部分にフォーカスできればと思いながらやっています。

昨季はベルマーレでリーグ戦13ゴールでしたが、シュート練習を日々重ねてきましたし、こだわりながら取り組んできました。やり続けてきたことが形になった手応えは感じています。今季もシーズンが終わった時にゴールを量産できていればと思います。

※後編に続く。次回は4月30日に公開予定です。

取材・構成●中川翼(サッカーダイジェストWeb編集部)

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