営業利益率20%超!驚異の飲食チェーン「コメダ珈琲店」の本店を訪ねる

数多くある名古屋発祥のチェーン店の中で、近年急速に知名度を上げているのが「コメダ珈琲店」だ。かつてローカルな存在だったが、県外へ進出して以降はあれよあれよという間に47都道府県を制覇した印象だ。コロナ禍を経ても業績は好調でビジネスモデルへの注目度も高い。今回はその本店を訪れ、人気の理由を探るという話である。

名古屋市にあるコメダ珈琲店本店へ

高級住宅街を歩き、現地へ向かう

コメダ珈琲店は、創業者の加藤太郎氏が1968年、名古屋市内に小さなコーヒーショップを開いたのが起こり。現在、事業展開するコメダホールディングスの公式Webサイトには、77年に現在まで続く「シロノワール」を販売したとあり、比較的早期に人気メニューを開発していたことがわかる。

90年代初頭からフランチャイズ(FC)展開を開始、2001年にはFC本部機能を拡充して店舗網拡大にアクセルを踏み込む。03年、関東地区初の店舗として神奈川県横浜市青葉区に「横浜江田店」、さらに06年11月には関西地区初の店舗として奈良県奈良市に「奈良中央店」をオープンする。関西へ進出するにあたって、大阪や神戸ではなく、奈良を選ぶというのもコメダ珈琲店らしい。

私が初めて存在を知ったのは05年頃。愛知県出身の知人と名古屋市内をドライブ中、連れて行ってもらったのがコメダ珈琲店だった。何を注文するか迷っていたところ知人は前述のシロノワールを教えてくれた。

温かいデニッシュの上に冷たいアイスクリーム。不思議な組み合わせが新鮮で、実際に食べると何ともいえないおいしさに感動した記憶がある。

以来、20年近くの時が流れた現在、「名古屋のコメダ珈琲店」は全国47都道府県に広がり、すでにナショナルチェーンに成長している。個人的には、あれよあれよという間に広がった印象である。23年2月現在の店舗数は968。今回は、その本店を訪れるという話だ。

最寄駅の名古屋市営地下鉄鶴舞線「いりなか」駅で下車、歩き始めた。目的地へと向かったのだが、驚いたのは、スマホの地図サイトが示したのは高級住宅街を通るコースだったこと。1軒あたりの区画が広く、庭木も丁寧に手入れされている。自動車はいずれも高級車。調べると同エリアには、愛知県に本社がある世界的メーカーの現会長の自宅もあると知り、納得した次第である。

名古屋市営地下鉄鶴舞線「いりなか」駅で下車、歩き始めた
高級住宅街を通り、現地へ向かう。どの家も1軒あたりの区画が広く、庭木も丁寧に手入れされていた

歩き始めて10数分、高級住宅街を過ぎ、高低差のある道を抜けたところで、ようやくコメダ珈琲店本店が見えてきた。

高級住宅街を過ぎ、高低差のある道を抜けたところで、コメダ珈琲店本店が見えてきた

2022年10月に建て替えられた本店

店舗の前に立つ。本店だと思うからか、堂々たる風貌は自身に満ち溢れているようだ。上方に視線を移すと屋根には「KOMEDA’S COFEE」の立体的な看板が。

堂々たる本店の外観。その風貌は自信に満ち溢れているように見える
屋根には「KOMEDA’S COFEE」の立体的な看板

本店のオープンは1977年。22年10月には建て替えによってリニューアル、旗艦店としての機能を強化した。なお創業店は名古屋市の別の場所にあった菊井店で、すでに閉店している。

入店すると数組の先客がおり、設置してあるベンチに座って待機。15分ほど経ったところで窓際のカウンター席に案内された。柔らかそうなイスは深く座れる。テーブルは隣の席とパーテションで区切られており、1人の世界に入れる感じだ。

先客がおり、ベンチで待機する。壁には「1968」と創業年を記したプレートが掛かっていた

本店に来たのだからと限定メニューを探したが、店員に聞いても「ない」とのこと。気を取り直して「ナポリタン」「アイスコーヒー」、そして「シロノワール」を注文する。ちなみにシロノワールは、全部食べる自信がなくミニサイズにした。

ナポリタンのほかアイスコーヒー、さらに人気のシロノワールはミニサイズを注文

店内は、テーブル、階段はじめ木を多く使っているほか、茶色をベースにした色使いで、全体的に落ち着く感じがする。コメダ珈琲店の公式サイトを見ると、「コメダ流のおもてなし」として、「お客様1人ひとりの“くつろぎ”に寄り添った心からのおもてなし」とある。なるほど、確かにその方針を確かに感じる。

柔らかそうなイスは深く座れる。隣の席とパーテションで区切られており、一人の世界に入れる感じだ

しばらくして私の前にナポリタンが届けられた。フォークを使って早速いただく。パスタの固さが絶妙で、これが最高。濃厚なケチャップで味付けしてあり、とてもおいしい。時々、アイスコーヒーを飲みながら、ゆっくり楽しむ。

柔らかそうなイスは深く座れる。隣の席とパーテションで区切られており、一人の世界に入れる感じだ

食後に来たのはシロノワールのミニ。最初に食べた時と同様、温かいデニッシュと冷たいアイスクリームの組み合わせが楽しい。夢中になって食べ、フィニッシュした。

周りのお客に目をやると、PCを持ち込み動画を見ている人、ゆっくり読書している人、友達と楽しそうに話をしている人など、各人各様に楽しんでいる様子。まさにこれがコメダ珈琲店の魅力なのかもしれない感じた。

温かいデニッシュと冷たいアイスクリームの組み合わせが楽しいシロノワール

店を運営するコメダホールディングスの業績を見ると、営業利益率は驚異の20%超*(2024年2月期第3四半期業績)。お客の回転率を上げることだけが利益を獲得生む方法ではない。非効率が効率を産むこともできるのだ。そんなことを考えながら、私は帰路についた。
*編集部註:同社はフランチャイズチェーン(FC)のため、直営で運営する外食チェーンよりも売上収益が小さく出るため、営業利益率は高くなる傾向にある。同社のFC比率は94%と業界内でも格段に高い。

© ダイヤモンド・リテイルメディア