「もっと強度が必要になる」斉藤光毅が“終盤のパフォーマンス低下”という課題を大きく改善。パリ五輪には「もちろん行きたい」と胸中も吐露【現地発】

スパルタ・ロッテルダムは4月28日、17位フォレンダムに1−0の辛勝。オランダリーグでの順位をひとつ上げて8位なったスパルタは、UEFAカンファレンスリーグの出場権を懸けたプレーオフ進出に大きく前進した。

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右の三戸舜介、左の斉藤光毅――、スパルタが誇る2人のサイドアタッカーが前半からフォレンダムの守備陣に襲いかかり、9分には三戸の左からのクロスに斉藤が滑り込んだが合わせ切れず。さらに32分、敵の背後でパスを受けた斉藤が決定機を迎えるも、DFの懸命なタックルに左足シュートはブロックされた。

三戸は40分、ハーフウェイライン付近で敵のボールを奪うと単騎ドリブルからシュートを放ったが、ゴールの枠を捉えられない。後半キックオフ直後には斉藤のパスを受けた三戸がゴール中央からシュートを撃つも、やはり枠を外してしまった。

「日本人、お互いに結構チャンスがあったので、決め切らないとダメですね。しっかり決めないとチームに迷惑をかけてしまいますし、俺たちのこれからのためにもゴールを決めないといけない」(斉藤。以下同)

斉藤は今季3ゴール・5アシスト。三戸は2ゴール。前者は負傷による長期離脱、後者はオランダでプレーし始めてまだ4か月だ。それでも両者が作り出しているチャンスの数を思えば、ゴール数は少なくとも2倍になっていないとおかしい。

「勝って良かった。俺にチャンスいっぱいあったんで、引き分けに終わっていたら責任をめっちゃ感じたと思います。とりあえず勝って良かった。決めたかったですけれど…」

後半しばらくしてフォレンダムに攻めるターンが回ってくると、斉藤光毅が2回、ビッグプレーを披露して、スパルタに流れを大きく引き寄せた。1度目が72分、右サイドライン際を切り裂いたおよそ70メートルのロングドリブル。2度目は87分、自陣バイタルエリアから30メートル前進した中央突破だ。

斉藤が魅せた自陣深い位置からの一人カウンターにファンは沸いたものの、ドリブル始動時は共に2人のマークを外さないといけなかった。このリスク覚悟のプレーは勘か? 自信か? それともチームが劣勢のなか、自身のドリブルでチーム全体を押し上げようとしたのか?

「『行ける』と思ったのと、勘でやった部分と両方でした。うまくいったので、良かったと思いますけれど、最後は珍しくマジで足がつってしまいました。もう少しドリブルしたかったんですが、つったのでパスを出すしかなくなっちゃった。そこのタフさも身につけたい」
このプレーを最後に、斉藤はベンチに退いたが、残り時間3分のところでキレと力強さのあるドリブルで一気に自陣から前線にボールを運んだのは見事。「試合終盤でのパフォーマンス低下」という課題を大きく改善しつつあることを証明した。

「そうですね。自分のなかでも90分近く出るのが当たり前みたいな感じになっているので、そこは成長してるのかなと思います。しかし、まだ十分ではない。これからレベルアップしていく上でもっと強度が必要になってくると思う。 このレベルに合わせるんじゃなくて、常に上を目ざしながらやっていきたい」

75分、CFラウリツェンが決めた値千金の決勝弾は、GKオライのロングキックを左サイドライン際で斉藤が好トラップしたのが起点だった。

「ゴールキックの前に(GKオライと)目があって、『俺に蹴ってくれ』と合図したら、いいボールを蹴ってくれた。今日はトビアス(ラウリツェン。194cm)が風とかもあって空中戦で勝っていなかったので俺が受けるほうがいいかなと思った。そういう選択肢を増やしていきたいなと思います」

U-23日本代表は29日、イラクとU-23アジアカップ準決勝を戦う。この試合に勝てば日本のパリ五輪出場が決まる。

「自分は応援しかできないので、本当に頑張ってほしい。勝ってほしい」

――パリ五輪出場が決まったら?

「もちろん行きたいです。ホントに大事な大会、自分のキャリアにとって大事な大会にしたいとずっと前から思っています。そこ(カタール)に行って戦えないことにもどかしい気持ちもあるし、残念な気持ちもありますけど、そこは決まったことだし、変えられないこと。だから信じる。自分が活躍すればパリ五輪に出られると思います。競争は激しくなるでしょう。だから、今は自分のことに集中してプレーしたいです」

取材・文●中田 徹

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