”劇場型”ゴルフで史上6人目の欧州V 桂川有人は「ゴルフ人生で一番のラウンドだった」

終わってみれば3打差快勝。桂川有人が御殿場を制圧した(撮影:米山聡明)

<ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント! 最終日◇28日◇太平洋クラブ 御殿場コース(静岡県)◇7262ヤード・パー70>

霊峰富士に見守られながら桂川有人が日本勢6人目となる欧州Vを決めた。「今年一番勝ちたかった試合の1つ。無事優勝できてほっとしています」と嬉しさより安どの表情を見せた。

3番パー5でサードショットを1ピンにつけバーディを奪取。さらに6番ではセカンドを30センチにつけるスーパーショットで1つスコアを伸ばした。優勝を意識したのは「9番ホールを終わって、10番ホールにあるスコアボードを見てから」とここから”桂川劇場”が始まった。

「バックナインはすごく緊張して手も震えたけど、強い気持ちをもってプレーしました」と10番はランを含めて330ヤードほど飛ばし、70ヤードを1ピンにつけてバーディを奪うと、12番でもセカンド120ヤードを54度で1メートルにつけ楽々バーディ。そして14番から3連続を奪って見せた。特に15番のバーディパットは、歓声の渦が巻いた。残り70ヤードのセカンドショットが止まらずピン奥10メートに行ってしまった。それを見事に沈め、力強くガッツポーズ。普段は”淡々プレー”もこの時ばかりは感情をむき出しにした。

優勝を確信するギャラリー達を多く引き連れ迎えた18番。最後まで攻めの姿勢は崩さず、果敢に2オンを狙うもグリーンオーバー。左足下がりの難しいライからのアプローチはオーバーしてしまうも、しっかりパーで切り抜け「63」。2位に3打差をつけるトータル17アンダーで優勝を果たした。

7つのバーディが印象深いが、ピンチにも上手く対応した。「今日の朝、アプローチバンカーとか練習していたんですが、『(試合で)これ朝練したやつだ』みたいなのが結構あって、全部上手くいった。朝の練習がすごい効いた」と”予習”の効果がすぐに発揮され最終日のサンドセーブ率は100%の1位タイを記録してみせた。以前から「ショートゲームが課題」と口にしていたが、今週は小技も冴えわたった。

「ゴルフ人生で一番のラウンドだった。欧州で好成績を残して、米ツアーに行きたい」。米下部のコーン・フェリーツアーへの挑戦を経て、今季は国内男子ツアーで再出発を決めた桂川だが、今大会の優勝でDPワールド(欧州)ツアーの2年シードを獲得。次週行われる「ボルボ中国オープン」はビザの手配も間に合わず出場を見送るが、「もう1勝して、いい成績を残してPGAツアーに上がれるように頑張りたい」。再び世界へ羽ばたく準備は整った。(文・齊藤啓介)

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