「登山靴」簡単で解けにくい「ひもの結び方」スポーツ&普段履きにも使える3種

登山靴のひもを正しく結べると、疲れにくく結び直しのストレスも軽減できる(撮影:佐野春佳)

お花見登山シーズンに突入し、足元の花々を愛でる季節がやってきた。ウキウキ気分で山に出かけたくなる頃だが、自分自身の足元にも気を配るのも忘れないでほしい。それは、登山靴のひもの結び方だ。

足を酷使するハードな登山でなくても、未舗装の道を歩く場合、一般的な蝶結びでは解けやすい。靴紐の結び方は案外見落とされがちで、ひものゆるみは足が疲れやすくなり、パフォーマンスにも影響が出るので、快適な登山のためにもしっかりと学んでおこう。

そこで今回は、簡単にできて尚且つ解けにくい結び方を解説する。いずれも慣れてしまえば数十秒でできるので、ぜひマスターしてほしい。

■簡単なのに解けにくい結び方3選!

今回紹介する結び方は、下記の3種類だ。いずれもすぐに役立つため、しっかり学びたい。

・イアンノット結び ・二重蝶結び ・ベルルッティ結び

それでは早速、結び方を確認しよう。

●1. イアンノット結び

アスリート結びとも呼ばれる結び方で、慣れると10秒程度で簡単に結べる。この結び方は、手順1番目で行う蝶結びの最初の結び方で、右側にあるひもが左奥、左側にあるひもが右手前になるよう配置するのが重要なので、写真をよく確認して作業してほしい。

1. 蝶結びのはじめの結び方だが、左側のひも(赤矢印)が手前、右側のひも(黄矢印)が奥になるようにひもをくぐらせ、配置する。

2. 左右のひもを小指で挟む。

以下は、左右両手で作業するのだが、分かりやすくするため、片手ずつ解説する。

3-1. 左手側は、人差し指を上からくぐらせ、親指を入れる。

3-2. 右手側は、人差し指を下からくぐらせ、親指を入れる。

4. 両手の作業を終えると、下記の写真のような配置になる。右手を奥に捻りながら赤丸の部分を、左手は手前に捻りながら黄丸の部分をつまみ、左右にひもを引く。

5. 結び目を整えて完成。

結び目を整えたら、イアンノット結びの出来上がり

●2. 二重蝶結び

二重蝶結びは、蝶結びの延長のような感覚でできるため、比較的覚えやすいだろう。

写真を見ながら順を追って作業してみよう。

1. 蝶結びと同じようにひもを結ぶ。

2. 蝶結びの要領で輪を作ったひもに、もう片方のひもを二重に巻きつける(画像中の黄色の円を参照)。

3. 巻きつけた二重のひもを少し緩め、空間を作る(画像内の黄色破線を参照)。

4. 緩めた二重の輪の中に、蝶結びの要領でひもをくぐらせる。

5. 輪になったひもを引き、結び目を整えたら完成。

結び目を整えたら、二重蝶結びが完成

●3. ベルルッティ結び

最後は、ベルルッティ結びだ。ベルルッティとは、かの有名な高級革靴店に由来している。見た目がオシャレなだけでなく、片方のひもを引いただけでは簡単に解けないのが特徴だ。ベルルッティ結びを施した登山靴では、丸一日登山をしても全く解けなかったほどで、筆者が一番おすすめする結び方である。

1. 二重にひもを結ぶ。蝶結びのはじめの結び方をした後、もう一度ひもをくぐらせればOK。

2. 蝶結びと同じようにひもを結ぶ。このとき、ゆるく結ぶのがポイントだ。

3. 右側の輪を、作っておいた空間にくぐらせる。

4. 結び目と全体を整えて完成。

結び目と全体を整えて出来上がり。見た目にもかっこいいのがgood

■簡単&解けないひもの結び方で、快適な登山をしよう!

今回の記事では、解けにくい登山靴の結び方について3パターン解説した。慣れてしまえば20秒以内で結べるようになるので、ぜひマスターしてほしい。ひもの結び方は、その重要性の割に見落とされがちで注目されることが少ないため、この機会に解けない結び方を習得しよう。

中でも、筆者のおすすめはベルルッティ結びだ。私見となるが、紹介した結び方の中では解けにくさNo.1である。そのため、山行中のひもの結び直しのストレスが大幅に軽減できるのが大きな利点だ。

また、紹介したひもの結び方は、登山以外にもマラソンなどのシューズや普段の生活でも活用できる。日常的に利用すると自然と覚えて、結ぶスピードもアップするのでおすすめだ。

春山登山の際は、地面の植物だけでなく足元の登山靴にも気を配り、楽しい山行を満喫しよう。

靴紐が解けたまま歩くと、ほかの人にひもを踏まれたり、自分の足でひもを踏んだりして転倒する危険がある。岩場や下り坂での転倒は重大事故にも繋がりかねないので、靴紐はしっかり結んでおこう。

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