議員からパワハラ・セクハラ、35人が「受けた」 美里町議会調査

 会津美里町議が町職員にパワーハラスメントと受け取れる言動をした問題を受け、町議会の議会改革推進特別委員会がハラスメントの実態調査をした結果、町職員と議員計128人のうち、3割近くに当たる35人が「過去10年間に議員(元職を含む)からパワハラやセクハラを受けた」と答えたことが28日、分かった。

 議員の意識の低さが浮き彫りになった形で、特別委は「非常に多い割合。本来は一人もいてはならないとの認識に立つ必要がある」として、防止に向けた条例制定や相談窓口の開設などの対策を急ぐ考えだ。

 「威圧的な発言/理不尽な罵倒」「体触る」最多

 実態調査は、特別委が2月7~14日、全ての町職員334人(会計年度任用職員を含む)と議員16人の計350人を対象にオンラインで実施し、匿名で128人(男性86人、女性29人、無回答13人)が答えた。回答率は36.6%。

 主な回答内容は【表】の通り。いずれも複数回答を認めた結果、32人がパワハラ、6人がセクハラの被害を訴えており、両方を受けた人もいた。ハラスメントをした議員については32人が現職、8人が元職と回答し、現職が8割を占めた。

 パワハラの内容は「威圧的・高圧的な発言/理不尽な罵倒をされた」が最も多く「あいさつしたり、話しかけたりしても無視された」「対応を優遇させようとする趣旨の要求があった」が続いた。「わずかなミスを大声で叱責(しっせき)/必要以上に長時間の叱責をされた」「理不尽な要求があった」との回答もあり、議員の立場を利用しようとした言動がパワハラにつながったとみられる。

 セクハラの内容は「体を触られた」「容姿についてからかわれた」が最多で、「彼氏または彼女がいるのか聞かれた。『早く結婚しろ』と言われた」などの声も上がった。

 このほか「ハラスメントを受けているのを見たことがある」と答えた割合は51人で全体の約4割に上り、被害実態はさらに多い可能性がある。防止対策として「十分な調査、処分の厳格化」「議員名の公表」と厳しい対応を求める意見が出た一方、正しい知識を得てもらうために「意識改革、意識啓発、教育の充実」と研修の必要性も挙げた。

 町議会は、男性議員が昨年7月に議会事務局の男性職員にパワハラと受け取れる言動をした問題を受け、今年1月に特別委を設置。ハラスメント防止条例制定へ準備を進めている。特別委は「結果を真摯(しんし)に受け止める必要がある。大きな認識不足が影響している」と認め「議会一丸となってハラスメントの根絶と未然防止に努め、町民から信頼される議会の実現を目指す必要がある」と結論付けた。

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