最短ルートで目指す「金時山」 山頂からの「富士山&箱根の大展望」登山レポ

金時山の山頂は富士山の景色を楽しみに来た人で賑わう(撮影:山歩ヨウスケ)

いつにも増して早い夏の訪れを感じる今年の春。標高の高い山の登山シーズンはもうしばらく先になるが、標高が2,000mを下回る山の登山シーズンは続々と始まっている。

今回は春の登山にぴったりで、絶景を楽しむことができる神奈川県と静岡県の両県の境に位置する「金時山(きんときやま)」を紹介したい。短い時間でトレッキングを楽しむのにおすすめのルートがある。

■日本三百名山にして金太郎ゆかりの山「金時山」

「金時山」は、箱根山の北西部に位置する標高1,212mの山だ。箱根火山を囲む外輪山の地域で最も高い山で、日本三百名山に選ばれているほか、関東百山などにも選定されている。

「金時山」の山名は、昔話や童話でお馴染みの「金太郎」に由来し、「金太郎」は坂田金時の幼名で、「金太郎」のシンボルでもある「まさかり」が山頂の標識になっている。小さい頃に聞いたことのある童話の舞台となっている山というだけで、親しみを感じる。

「金時山」からは富士山の大絶景を望むことができ、人気の観光地「箱根」からも近いことから多くの観光客やハイカーで賑わう山だ。「金時山」の山頂へと続く登山道はいくつかあるが、今回は山頂までの最短ルートを紹介したい。

筆者は「金時山」に登るのは春がベストだと考えている。通年ハイカーが訪れる山ではあるが、標高が1,212mの「金時山」は夏になると気温が高くなり、冬には降雪もある。アルプスなど高山の山々がまだ雪に覆われていて、過ごしやすい陽気である春に登るのが一番適していると筆者は感じている。

■山頂まで1時間! 矢倉沢峠を経て「金時山」山頂へ

登山口となるのは「金時見晴パーキング」からのスタートとなる。序盤は両側を笹に覆われた登山道になっており、過ごしやすい陽気で気持ちがいいが、4、5月の紫外線は夏に匹敵するほど強いので肌のケアを忘れずにしたい。

登山口から矢倉沢峠までは約5分。緩やかだった上りは矢倉沢峠から徐々に急になり、階段が多くなってくる。この頃には体も温まり、汗をかくのでウェアの脱ぎ着で調節しながらオーバーヒートにならないように歩きたい。

笹に覆われていた登山道は徐々に木々が混じる樹林帯となり、そこから山頂まではまた勾配が急になってくる。

「金時山」は危険な箇所もなく、気軽に登れる山ではあるが、どの登山口から登っても山頂までは勾配が急になり、岩も多くなる区間もあるので、必ずトレッキング用の靴を履いてでかけてほしい。

登山口から1時間、岩の急斜面を進んでいると山頂に建つ山小屋が見えてくる。樹林帯の中を歩いてきたが、山頂には木々が少なく大展望が広がっている。

■山頂から望む富士山と箱根の大展望

ずっと樹林帯を歩いてきたが、山頂に到着すると大展望が広がっており、これまで見えなかった富士山を望むことができる。

筆者が訪れた3月下旬は春休みの期間だからか、親子連れの姿も多くあった。観光地の箱根から近いことと、世界遺産でもある富士山が見えることもあって、多くの外国人観光客で賑わっていた。

富士山の景色も絶景だが、箱根の街を一望することができ、晴れていれば大涌谷の噴煙地を肉眼で確認できる。山頂には十分な休憩スペースがあり、ベンチなども設置されているのでゆっくりと景色を楽しみたい。

■「金時山」はシーズンはじめの山に最適!

筆者が歩いた最短ルート以外にも、「金時山」は登山ルートのバリエーションが豊富で、体力や時間に合わせて計画できる。

シーズンはじめに短いルートで足慣らしをしてもいいし、箱根外輪山の明神ヶ岳や乙女峠などに足を延ばすのもいいだろう。この春は箱根観光と合わせて楽しめる「金時山」に登ってみてはどうだろうか。

【登山ルート】
金時見晴パーキング⇒(5分)⇒矢倉沢⇒(25分)⇒公時神社分岐⇒(30分)⇒金時山⇒(25分)⇒公時神社分岐⇒(20分)⇒矢倉沢⇒(5分)⇒金時見晴パーキング

© 株式会社双葉社