日本が外国人労働者の受け入れ方針を大転換、「現代版野麦峠」から脱却か―香港誌

香港誌「亜洲週刊」はこのほど、外国人労働者の受け入れ方針を大きく転換しつつある日本の状況を紹介する、毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。写真は東京の繁華街の池袋の様子。

香港誌「亜洲週刊」はこのほど、外国人労働者の受け入れ方針を大きく転換しつつある日本の状況を紹介する、毛峰東京支局長の署名入り記事を発表した。以下は、同記事の主要部分を再構成した文章だ。

日本では高齢化が進み、労働力不足が急を告げている。これまで外国人労働力の導入に保守的で慎重な措置を取ってきた日本政府も、姿勢を転換せざるをえなくなった。4月16日からは、岸田内閣が提案した新たな外国人労働者の受け入れ制度である「育成就労制度」に関連する国会審議が本格化した。関連法案は成立すると見込まれている。「育成就労制度」の要点は、これまでの「技能実習」の名義による外国人労働者制度を廃止し、外国人労働者の技能育成と長期的な日本での就業を確保する「ウィンウィン」を確立し、日増しに深刻化する日本の労働力のギャップを埋め、日本の経済と産業の持続可能な発展を維持することだ。

日本の「技能実習」制度は国際社会から非難され、「現代版野麦峠」などとも呼ばれてきた。その最大の弊害は、日本での実習という名目のもとで、実際には農業、縫制、建築などの「キツくて汚い」労働に従事する外国人実習生を採用したことだ。外国人実習生は学習という名目のために、懸命に働いても「同一労働・同一賃金」を享受できず、さらに仲介管理団体が存在するために、外国人実習生が実際に得られる金額は更に少ない。また、これらの実習生は自分のパスポートを手元に置けないことが普通で、外出制限があり、実際に働き始めてから最大で3年後には帰国せねばならない。その結果、外国人実習生と日本の雇用主や仲介管理団体との間に対立や凶悪事件が発生し、外国人実習生が「蒸発」して不法滞在して生計を立てるケースも多かった。

日本はついに、この国内外の人権団体が注目し批判する「労働搾取」制度の廃止を決定した。新たな「育成就労」の制度では、「同一労働・同一賃金」を確保し、雇用主や仲介管理団体による労働者の賃金の横領や労働者の自由の制限などの不法行為を防ぐ独立監視機構を新設する。また、外国人労働者は技能を養いつつ2年間働いた後、「特定技能」などの別の労働ビザに変更することができる。日本で長期にわたり働くことができ、日本の永住ビザ取得にも道が開かれる。また、日本の永住ビザを取得した外国人であっても、長期にわたって日本に住んでいなかったり、税金や社会保険料などを滞納した場合には、入国管理局が状況に応じて日本の永住ビザを取り消すことができることも重要な点だ。

高齢化による労働力の減少に直面する日本は、「育成就労」の新設以外にも、特定技能1号と同2号の名目の移民就労ビザも導入し、外国人労働力の導入の拡大を加速する考えだ。日本政府は、「特定技能」就労ビザで受け入れる外国人労働者の数を、今後5年間で80万人にする方針だ。特定技能資格で来日した外国人は2023年末時点で約20万8000人余りで、人手が不足している建設、製造、造船、農業、介護、飲食など12業種に従事している。特定技能2号ビザを取得した場合には、家族を連れて来日することもでき、日本の永住ビザ取得の可能性も出てくる。日本は自動車運輸、鉄道、林業、木材産業の4業種についても新たに外国人労働者の導入を打ち出したので、「特定技能」としての外国籍労働力移民は16業種に拡大されることになった。その中には物流関連やバスやタクシーの運転手、鉄道関連の運転士や駅員なども含まれる。日本は、伝統的で保守的労働力についての閉鎖主義から脱却し、同分野でより開放的な国際化に向かいつつある。(翻訳・編集/如月隼人)

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