衆院長崎3区補選 “リベンジ”果たす 山田さん「政権交代へ戦う」

支援者から笑顔で花束を受け取る山田さん(中央)=28日午後8時7分、大村市の選挙事務所

 野党一騎打ちとなった衆院長崎3区補選は28日、立憲民主党前職の山田勝彦さん(44)が勝利を収めた。「政治とカネ」問題が吹き荒れ全国的に注目された中、議員バッジを外して臨んだ選挙。前回敗れた小選挙区での“リベンジ”を果たし、陣営は喜びに沸いた。

◎山田さん 「政権交代へ戦う」

 山田さんは前回衆院選で谷川弥一前衆院議員に惜敗。自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で補選が行われる可能性が浮上すると、「(前回)もし自分が勝っていれば補選はなかった」と思った。比例復活で得たバッジを外し、補選に挑む覚悟が自然と決まった。
 結果的に全国で唯一、この事件に絡んだ補選となった。山田さんは「私だけの戦いではない。長崎での勝利がこの国の政治自体を変えていく」と位置付け、「金権政治を許さない」と政権批判を強めていった。
 しかし、論戦の相手と見込んでいた自民は候補者擁立を断念。異例の野党同士の戦いに臨むことになった。相手は日本維新の会。政策面で保守層との親和性が高いとされ、選挙戦では立民への攻撃が加速していった。自民支持層が棄権や白票で態度を示すとの見立てもささやかれ、陣営は「見えない敵」を意識した戦いを強いられた。
 ただ、戦い方はぶれなかった。「誰よりも地域や現場の声を聞く」という初志を貫き、本土と離島にまたがる選挙区をくまなく回るどぶ板選挙を展開。続々現地入りした党の重鎮らが後押しした。泉健太代表は「補選は(山田さんを)大きく成長させる機会」と期待を込めた。
 最終日は大村市内で全100カ所の街頭に立ち、かすれた声で「もう変えんば」と繰り返し叫んだ。政治改革に党派は関係ないと訴え続けた。
 当選確実の一報が入った選挙事務所で、山田さんは「政権交代に向け皆さんと戦いたい」と呼びかけた。党幹部の誰もが認める「元気印」は次の総選挙に照準を合わせ、表情を引き締めた。

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