中国SF産業、「千億元時代」突入

中国SF産業、「千億元時代」突入

山西省陽泉市の劉慈欣創作研究工作室に飾られたSF小説「三体」の日本語翻訳本。(2023年8月15日撮影、陽泉=新華社記者/王皓)

 【新華社北京4月29日】中国のサイエンスフィクション(SF)産業の2023年の総売上高は前年比29.1%増の1132億9千万元(1元=約22円)に上った。北京市で27日に開かれた「第8回中国SF大会」でレポート「2024中国SF産業報告」が発表されて明らかとなった。

 科学技術の普及などに取り組む中国科普研究所の王挺(おう・てい)所長によると、SF産業の売上高は統計を開始した16年には約100億元だったが、8年後の23年には11倍程度に膨らんだ。

 23年の総売上高をジャンル別に見ると、映画・ドラマは38.8%増の115億9千万元、最大の割合を占めるゲームは15.4%増の651億9千万元、文化・観光は2.1倍の310億6千万元で高めの伸びを示した。

 大会開催地の北京はここ数年、SF産業チェーンの展開に力を注ぎ、産業の集積を強化している。同市のSF産業の売上高は20年の187億元から22年には292億5千万元に上り、年平均伸び率は25.1%となった。会場となった石景山区は、SF関連企業・団体が200以上集まる。

 未来学分野で世界最大級の学術研究団体、中国未来研究会(CSFS)の陳輝(ちん・き)秘書長は「SFは科学技術時代の証明であり、国家の実力の表れでもある」と指摘。中国の科学技術力と総合的国力の顕著な向上は、SF産業の発展に確かな基盤を築いており、中国でSFの内容が現実になる可能性を信じる人は増えているとした。

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