さやまあかり“初出荷”へ…高等特別支援学校生が狭山茶の苗木生産 5月1日の新茶まつりで220本を配布

苗木の鉢上げを行う県立入間わかくさ高等特別支援学校の生徒ら=24日、埼玉県入間市上谷ケ貫の県茶業研究所

 埼玉県茶業研究所(入間市)で狭山茶の苗木生産に取り組む県立入間わかくさ高等特別支援学校の生徒が24日、苗木をポットに移す「鉢上げ」の作業を行った。昨年6月から苗木2千本を育て、今回鉢上げした約220本は同市で5月1日開催する八十八夜新茶まつりで配布。残りの苗木も県茶業研究所で6月1日に開催する狭山茶摘み体験フェスタで販売される予定だ。

 同校は昨年から農業実習で県育成登録品種「さやまあかり」の苗木生産に取り組む。農園芸コースの1~3年生30人は昨年6月、一つの枝に芽が一つになるように切った枝2千本を3日間かけて畑に挿し木。根が生えるまで、除草や遮光などの維持管理、根付きの調査などを行い、大切に育ててきた。

 今回初めての鉢上げ作業に当たったのは3年生10人。小雨が降る中、苗木をスコップで丁寧に掘り出し、ビニールポットに移し替えた。ポットには同校の生徒が作った「さやまあかり」の説明と、同校の校章がデザインされたラベルシールを貼り付けた。リーダーの吉田杏珠(あんじゅ)さんは「すごい数だと思っていたが、みんなで協力できてよかった」と笑顔。新井智久さんは「去年は先輩と作業できて楽しかった。小さな枝がどんどん成長して、大きく育ってよかった」と話した。

 同所の小林雅史副所長は生徒について、「非常に丁寧で感心した。苗木の生産者として、狭山茶の発展のために頑張ってほしい」と期待した。次回は苗木を7千本に増やし、いずれは茶農家への出荷を目指すという。

 さやまあかりは県茶業研究所が2021年に開発。病気や害虫に強く、収量が多い。うまみと程よい渋みがある。苗木は茶葉が取れるまで7年ほどかかるため、まだ流通していない。

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