「自分も投げられるとは思っていませんでしたが...」手塚康平のロングスローがチームの新たな武器に!? 「練習で意外と距離が出た」【鳥栖】

4月28日、サガン鳥栖はJ1第10節で柏レイソルと敵地で対戦し、1-1で引き分けた。

このゲームのサプライズは、手塚康平のロングスローだ。

4分、右サイドで敵陣深くに飛び出したボランチの河原創のクロスは相手DFにブロックされ、ボールがタッチラインを割る。すると、ボールを手にした手塚がロングスローをゴール前に放り込む。得点にはつながらなかったものの、これでコーナーキックを得た。

鳥栖には藤田直之や丸橋祐介らロングスローの使い手がいるが、手塚が投げられる印象はなく、鳥栖サポーターからも驚きの声があがっていた。

試合後、手塚はロングスローについて次のようにコメントした。

「自分もロングスローを投げられるとは思っていませんでしたが、最近、スローインの練習の中で意外と距離が出て、投げられそうだなと。結果、オプションのひとつになっています」

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鳥栖は今季、FWのマルセロ・ヒアン(188センチ)や、右SBが主戦場の長澤シヴァタファリ(186センチ)ら、長身選手を数名獲得。セットプレーの強化が期待されている。実際、柏戦でも河原のFKからM・ヒアンが得点したが、チームとしてロングスローの練度を上げられれば、新たな得点パターンになりそうだ。

一方、柏戦ではセットプレー以外のチャンスメイクに苦戦。ボール保持を基軸とするチームスタイルに反して、相手にゲームを支配され、押し込まれる時間が長引いた。パスセンスと戦術眼に優れ、チームのポゼッションを支える手塚も課題を感じているようだ。

「特に後半、ビルドアップでさらに苦戦した印象ですが、ポジショニングのところなどは、映像で振り返らなければ分からない。課題はしっかりとみんなで共有して、改善に努めたいと思います」

ビルドアップは元来、鳥栖の魅力のひとつだ。今季の序盤戦までに浮かび上がった課題を見つめ直し、新たな武器となりつつあるセットプレーやロングスローをさらに磨けば、上位進出への道も見えてくるだろう。

現在18位と苦しむ鳥栖。ひとまず降格圏を脱出するために、鍵を握るのはビルドアップやセットプレーの両面で手塚かもしれない。

取材・文●岩澤凪冴(サッカーダイジェスト編集部)

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