“自分の意志で”スターダム退団…林下詩美、マリーゴールドに入団した理由「噂を聞いたんです」

2024年春のプロレス界の話題の中心・マリーゴールド【写真提供:マリーゴールド】

マリーゴールドは「インパクトがあっていい名前

2018年のプロレスデビュー以来、“逸材”と呼ばれスターダムの屋台骨を背負ってきた林下詩美が、マリーゴールドという新天地で羽ばたこうとしている。4月16日に旗揚げ会見を開いたマリーゴールドは、スターダムを解任されたロッシー小川が立ち上げた新団体だ。なぜ林下がスターダムを退団し、マリーゴールドを選んだのか。その理由を聞いた。(取材・文=橋場了吾)

4.12スターダム後楽園ホール大会。3月いっぱいでスターダムを退団し、フリーとしてスターダム最後のリングに上がった林下。タッグチーム“AphroditE”のパートナーであり、ユニット“Queen’s Quest”の盟友であった上谷沙弥とタッグを組み、林下と同じスターダム10期生の飯田沙耶、林下を追いかけプロレスラーになった現ワールド・オブ・スターダム王者・舞華と戦った。結果、林下は初めて飯田に敗北を喫した。

「“飯田大快挙”みたいなイメージかもしれないですけど、今の飯田沙耶は私に勝つことが難しい選手ではないですよ。すごい上からになっちゃうかもしれませんが、林下詩美に勝ったんだから、これからもっともっと花開いてほしいなって思います。ただ飯田は本当に優しい子なのですが、もっとわがままを言ってたくさん発言して、ユニットリーダーとやっていける人だと思うので頑張ってほしいですね」

林下がスターダムの退団を発表してからは、舞華とのコラボ配信もあり、ユニットの垣根を超えた交流が生まれた。

「飯田は同期なのですごく注目していましたし頑張ってほしいと思いますが、基本的には自分のユニット以外は敵ですし、興味はないです。でも飯田とも最初はいろいろな話をしましたけど、ユニットが分かれてからはそれほど交流がなくなりましたね」

プロレスラーデビュー以来、スターダム一筋で過ごした6年間。林下がこのタイミングで退団を決意した理由は何だったのか。

「私はスターダムで赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)を巻いて、女子プロレス大賞の新人賞も取って、(Queen’s Questの)ユニットリーダーもしてきて、やることが全部なくなってしまったというか……なくなったわけではないんですけど、最近はずっとユニットのことを考えて動いていたので、そろそろ次は自分のために本気で考えて行動したいというのがありました。もちろん、スターダムでしかかなえられない夢もあるんですけど、スターダム以外でないとかなえられない夢もたくさんあって。試合をしてみたい選手、組みたい選手がいたとしても、スターダム所属ではなかなかできないこともありますし」

最近入れた舌ピアスを見せる林下詩美【写真:橋場了吾】

ジュリアの横は「違和感でしかない」

そんな中、林下の耳に飛び込んできたのは「ロッシー小川が独立して新団体を作る」という“噂”だった。

「前回取材(2023年12月1日)をしていただいた直後ですかね、小川さんが新団体をつくるという噂を聞いたんです。あくまで“噂”ですよ(笑)。実はそのときに、小川さんと何も話をしていないのに勝手についていこうと決めていました。赤いベルトへの思いはあったので、ベルトを獲ってそのまま持っていこうということも考えましたし」

スターダムの創始者にして、プロレスラー林下詩美を生み出したプロデューサー、ロッシー小川の魅力は何なのだろうか。

「やっぱり長いこと女子プロレス界にいる方なので、選手やほかの関係者とも違う発想をして、誰よりも面白いことを考えてくれますし、私の夢をかなえるためにも必要な存在だったということです。(Queen’s Questの)上谷やAZMさんとは辞める前に話をして、特に上谷は最後まで『辞めないでください』と言ってくれたんですけど、最終的には快く送り出してくれました」

結果、スターダムから林下のほかにジュリア、桜井麻衣、MIRAI、ビクトリア弓月がマリーゴールドへ入団した。ただ林下とジュリアが並び立っている様に違和感があった。

「私の中でも(ジュリアと)横に並ぶというのはすごい違和感です(笑)。5.4の『WRESTLE MAGIC』では同じチームにはなるんですけど、それもすごい違和感がありますし。同じマリーゴールドになったけれど、スターダムの頃と同じ気持ちでそれぞれが頑張ればいいという感じですね。あと、弓月が来たことは私もびっくりしました(笑)。(団体名は)小川さんがあいみょんさんを好きなことは知っていたので、その流れだったのかなと思って小川さんに聞いたんですが、『花言葉(「生命の輝き」「勇者」「友情」などの意味がある)が良かったから、マリーゴールドにした』と。それを聞いて、プロレスの団体名らしくないかもしれないですど、インパクトがあって覚えやすいのでいい名前だなと思うようになりました」

(後編へ続く)橋場了吾

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