「全国募集」受け入れの大間高(青森・大間町)入学 山﨑さん(茨城出身)「釣りが決め手」

同級生や先輩と海釣りを楽しむ山﨑さん(右から2人目)。大間高校で「釣り部」の創設を目指す=4月21日、大間町の奥戸漁港

 この春、「全国募集」として青森県外から生徒を受け入れ始めた大間高校(大間町)に、茨城県龍ケ崎市出身の山﨑晴仁(はるひと)さん(15)が入学した。釣りが趣味という山﨑さんは、本州最北端の地での海釣りに憧れ、「釣り部」の創部を夢見る。入学から1カ月足らずで「フィッシング同好会」を創設。クラスメートや先輩にも積極的に声をかけて親しくなり、大間での暮らしになじみつつある。

 小学4年ごろから、友人とナマズやブラックバスの川釣りに熱中するようになったという山﨑さん。6年生のころ、過疎化について調べたことがきっかけで、全国募集で進学した高校とその地域の魅力をPRする「地域みらい留学」を知った。「地元の高校だけが進学先ではない」との思いに至り、茨城県外への進学も考え始めた。

 昨年9月、東京で行われた全国募集の合同説明会で、大間高校の教員に釣りや部活創設について、直接相談。自身の調べでは、釣り部がある公立高校はなく「新しいことに挑戦するのが好きで、釣りが好きな人たちと部活を創りたいと思った。自分が大間高校の全国募集1期生になれることも決め手の一つだった」。

 町が借り上げた、町内の事業所の寮だった住宅で、1人暮らしをしている山﨑さん。朝と夜の食事は町の支援により、別の事業者の社員寮から届けてもらっている。

 4月21日、同町の奥戸漁港で同級生や先輩と海釣りを楽しんだ。強風の影響もあり、釣果に恵まれなかったが「近いうちにマスを釣り上げてみたい」と笑顔を見せた。将来的には、釣りが好きな地域住民を巻き込んだ形でのイベント開催を思い描く。「大間で海釣りを楽しめることやどんな魚がいるか全国に発信したい」と語った。

 同校は本年度も全国募集の活動を継続し、6月には再び合同説明会に参加する予定。本州最北端の地で学ぶ魅力をPRする。同校は県立高校再編の第2期実施計画(2023~27年度)で、「地域校」に指定されており、2年連続で入学者が一定数を下回ると2学級体制から1学級減となる。全国募集制度により、一人でも多く生徒を確保したい考えだ。

 三和聖徳校長は「全国募集は今の時代に必要。在校生の教育を最優先に、町などとさらに連携しながら学校の存続に向けて取り組んでいきたい」と述べた。

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