ウニ 佐井村漁協は観光需要で好調 水揚げ&金額3倍 一方奥戸漁協(青森・大間町)は不漁

ウニ籠漁が本格化している佐井村。籠いっぱいに入ったキタムラサキウニが次々と水揚げされていく=25日午前6時半ごろ、佐井漁港

 4月1日に始まった青森県内のウニ籠漁が本格的なシーズンを迎えている。佐井村漁協では水揚げ量、金額ともに昨年同期比で3倍以上で、順調な滑り出し。卸値も好調で、要因として県漁連関係者は大型連休期間に「インバウンド(訪日客)や観光客の増加が見込まれることから、需要が高まっている」との見方を示す。その一方で、水揚げが振るわず、海の環境変化の影響を危惧する漁協もある。

 佐井村漁協では、水深約20~30メートル地点に餌を仕掛けた籠を沈めるウニ籠漁を行う。キタムラサキウニをむき身にして卸し、同漁協によると、今月15日時点の水揚げ量は878キロ、金額は1190万円(1キロ約1万3553円)。しけが多く出漁回数が少なかった昨年同時期の245キロ、340万円(同約1万3877円)を大きく上回っている。

 同漁協の今年の卸値は、今月中旬から1キロ当たり1万2千~1万4千円で推移し、2万円以上の値が付いた日もあった。むつ下北地域の仲卸業者によると、ウニは波の強さなどにより身の締まりや色が変わるため、値段の上下が大きいという。別の業者は「北海道や岩手県などでウニが揚がらない日は、佐井の値段が高くなることもある」と語った。

 県漁連業務部の三津谷良太次長は近年のウニの漁獲量や取引価格に大きな変化はなく、「大型連休の観光需要に対応するため高値が付いた可能性がある」と取材に話した。

 一方、大間町の奥戸漁協は不漁にあえぐ。昨年夏の高水温の影響で、ウニの餌となるコンブの根が腐るなどの被害を受けた。同漁協によると、昨年生まれた小さいサイズのウニが見られず、今後の状況によっては来年以降の水揚げにも影響を及ぼす恐れがあるという。

 宮野昭一組合長は「ここまでの大不漁は経験したことがない。海水温上昇の影響なのか自浄作用をもたらす大しけもなく、海の自然環境が変わってしまったのではないか」とこぼした。

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